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先輩として ( 2 / 2 ) ページ38

【 櫻井視点 】


「…久しぶりじゃねーの、王様(・・)


案の定、大地先輩に捕まった田中。月島は何事も無かったように歩き出していたのを見て、ちゃっかりしてんなと思いつつ、同じように歩き出す。


烏野(そっち)でどんな独裁政権敷いてんのか、楽しみにしてるわ」


歩き出した俺達に、正確には影山に対して声を掛ける青城生。格好からして青城バレー部の部員と見て間違いないだろう。( 北一時代のチームメイトか。見に行った時に居た気がする )


決して怒りに触れない言葉では無いだろうに黙っている影山に、俺達もまた黙って見守る。( 田中だけは今にも殴り掛からんとして、大地先輩に止められていたけど ) そして顔を上げた影山は、一言だけ口にした。


「…………ああ」


そのまま歩き出す影山に対して、挟むように立ったスガ先輩と田中。そして笑っては、ふたりして何も言わずに影山の肩を叩いた。


「俺、顔洗って来ても良いですか」


「おー、直ぐ戻って来いよ。後、日向居たら一緒に連れて来て」


体育館に入る前に大地先輩に声を掛ければ、頷いてくれて。そして続けられた言葉に、分かりましたと頷いた。


( 髪伸びたなぁ ) ノートを取る際にやたらと視界には入って来ていたけど、改めて鏡を見ると最後に髪を切った時より伸びたように思う。 ( 勿論、前髪だけじゃなくて全体的では有るけど )


「アッ、櫻井先輩」


「嗚呼、日向。大丈夫そうか?」


「た、多分」


顔を洗った所で、聞こえた水の流れる音と扉が開く音。濡れたままの顔で振り返る訳にも行かず、タオルで拭いていれば聞き慣れた声。


未だ青白い顔の日向に苦笑しては、取り敢えず手を洗えと顎で洗面台を示す。頷きながら手を綺麗に洗う日向は、未だにううと小さく唸っていて。


「あのさ、影山はお前が機能しなくちゃ総崩れになるつってたけど…」


「?」


「囮が無くても、烏野はそこそこ強い」


「エッ、アッ、それは分かってマス…!でも、直接言われると……」


ごにょごにょと続ける日向に、相手は付き合いの長い奴じゃ無かったと少し反省する。そして、最後まで聞いてくれと続けた。


「…?」


「勿論、課題は山積みだけど…お前の囮と、影山との連係攻撃(コンビネーション)が加われば…烏野はそこそこ強いチームから、勝てるチームに変われると思う。だから、お前の活躍に期待してる。── けど、それで緊張する必要は無い。お前の力を借りるのは仲間で、お前に力を貸すのもまた仲間なんだから」


「! ハイッ!!」





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作者名:紗羅 | 作成日時:2017年10月16日 1時

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