【ハイキュー!! 】能ある鷹は爪を隠す＿ 01【男主】 (ページ26)

今日:12 hit、昨日:13 hit、合計:227,645 hit

コンビ誕生 ( 3 / 3 ) ページ26

「ンな訳ねーよ、少なくとも俺は」

「俺だってそうだよ、＂日向が打ち易いトスを上げたれよ＂って意味で言っただけでっ」

「俺は、影山の多少無茶なトスにも日向なら合わせられるようになるかなって思ってたんだ」

マジ、パねぇ！と目を輝かせる田中に、透かさず否定する。自分の名前が聞こえて来た為か近付いて来た大地先輩とスガ先輩も、それぞれ口にした。

「…でも、良い意味で裏切られたな～」

「？」

「日向がトスに合わせるんじゃなく、トスを完璧に合わせる…日向がどこに跳んだとしても。セッターがスパイカーに気持ち良く打たせるってのはいうのは、すっごく当然のことなんだけど…その〝打たせる〟の精密さがとんでもなく高い」

「日向がまだ下手くそで打てなかった(・・・・・・)からこそ、影山の真骨頂を発揮させた……って、感じですね」

「うん…なんて言うか…10＋10＝20になれば良いなって思ったのが、10×10＝100なっちゃったみたいな…」

大地先輩がそう言った時、頭の中で木の棒を持って立つふたりと、後半はバズーカ砲を持つ影山が想像出来てしまって、笑ってしまいそうなのを堪えた。

「未熟でも天性のスピードやバネを持つ日向、その才能を高い技術で完璧に活かす影山…互いが互いの能力(パフォーマンス)を最大限に引き出す…── これは予想以上に凄いコンビができちゃったかもな」

日向と影山に視線を向ける大地先輩に、釣られるように彼等を見る。何やら話して月島達の方へと向かうのを目で追って居れば、櫻井と大地先輩に呼ばれて視線を戻した。

「お前の目から見て、今回の一年はどう？」

「攻撃面は大地先輩の言う通り、彼等のお陰で進化すると思います。…まあ、問題は守備ですね。日向は特にですけど…多分、月島も山口もレシーブは苦手と見ました。サーブじゃ標的(ターゲット)になること、間違い無し」

素直に告げれば、大地先輩とスガ先輩も薄々は感じ取っていたのだろう。だよなと頷くふたり。田中もまた厳しいと口で言いながらも、日向は特にだなと続けた。

「まあ…月島は烏野一の高身長な訳ですし、ブロックの要になってくれたら、有難い事この上ないですけどね」

「はは、確かに。でも櫻井だって同じミドルブロッカーなんだから、頼りにしてるぞ」

ぽんと俺の肩に手を置いて、月島達の方へ歩いて行く大地先輩。その後ろ姿を見ながら、やっぱ格好良いなあなんて思った。( あの人に追い付ける気がしねえわ )

・

・