検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:3,055 hit

いち ページ2

.



汗で体に張り付くワイシャツ。

やたらでかいセミの鳴き声。

冷房の効かない教室と、
じりじりと肌を焦がす太陽。


清々しいなんて嘘でも言えない朝に、登校早々私はうんざりしていた。



「あぁもう、溶けそう…」



机にへばりつきながらひとりごちる。


家から近いという理由で選んだ烏野だったけど、
この季節は校門までの坂道が地獄でしかなかった。



「あっついなあ」



ぼやきながら窓に手をかけた。

席替えで窓際の席に当たったのは、この季節じゃ幸運とは言えなかった。
だって、クーラーの冷風が全く届かない。


仕方なしに開けた窓から流れてくるのは、申し訳程度の微風。

けれどないより随分とマシだと言い聞かせながら、私は日が指さない程度にカーテンを閉めた。



「……」



そこに背中を預けながら、人のいない教室を見回す。


いつもは喧騒で満たされているこの空間が静まり返っている光景は、何度見ても飽きる気がしない。

違和感があって、けれどなぜか、とても落ち着く。


セミの鳴き声は除くとしても、どの季節も共通して、朝はとても静かだ。


私はこのどこか贅沢な時間が、嫌いじゃなかった。
これを味わうために、苦手な早起きができるほど。


ジージーと鳴いてるセミの声をどこか遠くに聞きながら、私はゆっくり目を伏せる。


静かに深呼吸をしてみれば、今日も笑顔で頑張れる気がした。




.

に→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.0/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
20人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かかお(プロフ) - ななさん» なな様、あたたかいお言葉ありがとうございます!よろしくお願いいたします。 (2021年2月6日 9時) (レス) id: ee76e1aae3 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 更新待ってました!頑張ってください! (2021年2月5日 17時) (レス) id: 4f61ebe657 (このIDを非表示/違反報告)
かかお(プロフ) - りぷさん» りぷ様、お返事遅くなってしまってすみません。あたたかいお言葉ありがとうございます!とっても励みになります。マイペースに更新していくつもりでおりますので、気長に待っていただければと思います。 (2021年2月5日 17時) (レス) id: ee76e1aae3 (このIDを非表示/違反報告)
りぷ - すごく面白くて好きな作品の1つです。更新がんばってください! (2020年8月2日 11時) (レス) id: 587a922c5a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かかお | 作成日時:2020年5月26日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。