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彼はよくこんなやり取りをするのだろうか。気まぐれが私に向いたというだけで、実はよくあることなのかもしれない。そんなイメージは無かったけれど。何度も言うが、彼はそこまでSNSに張り付いているタイプじゃない。



「うーん……」
「どうしたのA。最近情緒が不思議なことになってるよ?」
「情緒不安定じゃなくて情緒不思議? どういう意味?」
「嬉しそうなのに寂しそう」


彼女は私をよく見ていたらしい。それにしたって私はこんなに分かりやすいのだろうか。そんなに、態度に出ているのだろうか。私はあの些細なやり取りを出来るのが嬉しいのに寂しいのだ。


「……その顔は図星だね?」
「うーん」
「誤魔化すの下手くそか。……無理には聞かないけどさあ」
「わかってる、ありがと」


誰にも言えない。自業自得でこんなことになっていること。些細なやり取りで勘違いを膨らませていること。言えるはずがない。言いたくもない。


「そういえばさ、もう少しで春高バレーあるけど……今度は……」
「……うーん」


インターハイは休んだ。風邪ということにしたけれど友人はきっと分かっている。春高予選も見には行かなかった。けれど、1月になれば全校応援があるのだ。

見に行かないと決めていた。迷惑は掛けたくない。彼のバレーの異物にはなりたくない。邪魔なんかしたくない。彼のために? いや、そんな傲慢なことを言うつもりは無い。


「あっ、」
「イテッ」



全ては私が臆病だからだ。



考え込んでいた私は前から来ていた人に思い切りぶつかった。申し訳ない、と思いつつ謝るために視線を上に向けていくもかなり背が高くて、あ、



「……ごめんなさ、い」
「んや、こっちもちゃんと見てへんかったし」



ああ、会いたくなかった。
本当に会いたくなかった。



「どうしたん?」
「侑が上から睨んどるから怯えたんやろ」
「んなことしてへんわ!」
「……ごめんなさい」
「やから別に気にしてへんって……」



目が合った。ただそれだけなのに、私はあの日を思い出していた。あの日以来初めて彼と目が合った。当然だ、今に至るまで私はずっと彼を避け続けていたのだから。彼の目は驚きを孕んで、そして少し訝しむように眉を顰め、それから。



「……あの時の」




ああこの目。
この目を私は片時も忘れることは無かったのだ。
 
 
 

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ふぐひらめ(プロフ) - 保護者などの声で集中を切らされてしまっても、一時はそれを疎ましく思っても、自分の集中力が弱かったのだ、と切り替えることのできる人達でした。きっと、先輩方が強かったのはこういう理由なんでしょうね。私たちは残念ながらあまり勝つことはできませんでしたが。 (11月26日 16時) (レス) id: 63e1c883be (このIDを非表示/違反報告)
ふぐひらめ(プロフ) - 私達のチームは、本当に優れたチームでした。先輩たちも、一生尊敬して生きていきたい人達です。 (11月26日 16時) (レス) @page13 id: 63e1c883be (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - さむつむさん» コメントありがとうございます!! いえ、私は体育以外ではバレーしたことない人間です笑 (2020年2月17日 20時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
さむつむ(プロフ) - すごく…さみしいお話ですね…えまさんは、バレーしてるんですか? (2020年2月16日 18時) (レス) id: 0a4236f730 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - 桃缶さん» コメントありがとうございます!! そんな風に言って貰えて嬉しいです。題名は結構練ったものなので褒めていただけて幸いです!! (2019年11月13日 22時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えま | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年9月14日 9時

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