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「俺が、Aちゃんと付き合い続けたい理由なんて、すぐに出てくるはずやろ。なんなん、言わせたいん？」
「……だって宮くんは嘘が上手だから」
「買い被りすぎやわ。もう分かっとるはずやろ、素の顔がどれか」
そんくらいは、一緒に居ったやろ。
ぽつりと諭すように言われて何だか泣きたくなった。一緒に居たって嘘だったはずだ。全部嘘だったはずだ。そう言い聞かせては勘違いをやめたのに。
「全部嘘だったくせに」
「全部ちゃうわ」
「告白」
「……まあ、それは」
「お昼に誘った」
「最初は後ろめたさもあった」
「デート」
「誘った時には本気で行きたかったから誘ったんやからな」
「名前で呼ぶのは気恥しい」
「それも本当のことやで。……Aちゃんは？」
私の名前を呼ぶ声が優しくて、駄々っ子を諭すような優しさで泣きたくなる。何それ。嘘だったくせに。でも私だって嘘つきだった。あ、でも、違う。
「本当だよ。呼びにくい。呼ばれるのも……慣れない」
「知っとる。……そこは嘘やなくてよかった」
宮くんは教室で見ない顔をたまに見せると思っていた。嘘が上手だなあと、見る度に優越感と寂しさが胸を占めた。今のこの顔もそうだ。でも、嘘じゃないのなら？
「嘘ちゃうからな。嘘つく理由もないからな」
「分かった」
「やから、疑わんといて。どの面下げて言うんやって思われそうやけど」
「思わないでおく、取り敢えずは」
ふはっ、と零れるような笑い方をして。それから宮くんの口が言葉を紡いだ。好き、と確かに耳に届いて、何だか情けなくなる。
「私は分からない……ごめん」
「謝らんといてや、フラれた気分になる。……フッとらんよな？」
「うん。けれど受け入れたのかと聞かれたらよく分からない」
「まあ……今はそれでいいわ。今は」
強調するように繰り返された単語に変な気分になった。今は？
「え、何か続くの？」
「終わらせるつもりらしかったけど俺がそれに付き合う義理無いやろ。終わらせんわ」
「宮くんは義理堅いと思ってたのにな……」
「ハァ？ 誰のこと言っとんねんそれ」
呆れたような目を向けられた。
「嫌いやないならそれでいい」
「うん」
「無理に付き合わせるつもりも無い。牽制として付き合っとることにしとくだけやわ」
「うん？」
逃げられると思うなよ。
何故だか、そう言われている気がしてならなかった。
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えま(プロフ) - せなけいこさん» そこまで言っていただけてただただ感謝です！！ ありがとうございます！！ (2020年10月3日 15時) (
レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
せなけいこ - 星の数が足りません！めっちゃ好きです！！ (2020年10月3日 14時) (レス) id: ef980343e4 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - おかか。ですか？さん» ありがとうございます！！ 作品を楽しんで頂けたようで幸いです！！ (2020年9月7日 18時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか？ - 私の語彙力がないせいで言い表せないんですけど、めっちゃ面白かったです！最高でした!! (2020年9月7日 17時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - せりなさん» 天才だなんて！！ 身に余る言葉です、ありがとうございます！！ (2020年5月13日 5時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
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