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「なぁ、さっきからずっと黙っとるけど具合でも悪いん??」
「あ、ううん、別に大丈夫!」


大丈夫じゃないけど。少なくとも宮くんの心配するような熱中症では、ない。



どういう切り出した方をしたら良いのか分からずに悶々としてしまっていた。弁当を見ると、ご飯に口を付けた以外は手付かずのままだ。ダメだ、悩んでても埒が明かない。



「ねえ、何でさっき彼女に接するみたいな接し方したの?? それともあれってクラスメイトの普通の距離感??」
「黙っとると思ったら急にめっちゃ喋りだすやん」



引き気味になった宮くんにまた取り繕うに失敗したなあと頭をよぎったけれど仕方ない。それより私は私の問いに対する返事が聞きたい。



「彼女に接するみたいなって、そりゃ彼女やし当たり前やん?」
「うん……?」


まあそういう事になっているけれど。あれ、おかしいのは私の方なのだろうか。至って普通、みたいに返されて混乱してきた。


「あ、ほら、それに、あまり周りにバレたくないでしょ?? なのに良いのかなって」
「あ……それは坂城さんそう言っとったな、ごめん。でも付き合っとるのは治にしか言っとらんよ」
「えっ言ってあるの?」
「治にもダメだったん? でも兄弟やし早晩バレるやろうし……」



何か変だ。何かが変だ。何だろう、齟齬が生じているような。私と宮くんの認識の、どこかが何かおかしい。


あ、そうだ。
宮くんに、“隠したがっている”素振りが無い。



「……治に言ったの怒っとるん?」
「ううん……違う……でも、」
「でも?」
「“付き合ってること言っちゃって良かったの?”」



宮くんの目を覗き込んだ。宮くんは嘘が上手だから。黙ってたら私にはきっと見抜けないけど、でも、宮くんの目は雄弁だ。目は口ほどに物を言うを体現する。



宮くんの目は、“何を言ってるのかよく分からない”、みたいなことを言っていた。表情も訝しげで、表情と本心に捻れはない気がした。


「治は言いふらすような奴ちゃうから別に……誰にも言ってへんと思うけどな」
「ううん、それを疑ってるんじゃなくてね、」



“好きでもない女と成り行きで付き合うことになってしまったなんて、内緒にしたいものじゃない??”


喉まで出かかって、また飲み込んだ。


もしかして、それも含めて全部言ってあるのかな。いつどうやって別れを切り出そうかとか、相談しているのかもしれない。ああ、この考えはしっくりくる。



鈍く胸が痛い。

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えま(プロフ) - せなけいこさん» そこまで言っていただけてただただ感謝です!! ありがとうございます!! (2020年10月3日 15時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
せなけいこ - 星の数が足りません!めっちゃ好きです!! (2020年10月3日 14時) (レス) id: ef980343e4 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - おかか。ですか?さん» ありがとうございます!! 作品を楽しんで頂けたようで幸いです!! (2020年9月7日 18時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか? - 私の語彙力がないせいで言い表せないんですけど、めっちゃ面白かったです!最高でした!! (2020年9月7日 17時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - せりなさん» 天才だなんて!! 身に余る言葉です、ありがとうございます!! (2020年5月13日 5時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えま | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年4月24日 17時

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