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昼休み、空き教室に入ってきた宮くんはどこか不機嫌そうだった。もしや何か勘づかれた？ そんな事を考えたけれどすぐ打ち消す。宮くんの表情は、不機嫌よりはムッとしてるだとか拗ねてるだとかいう方に近い。
「どうしたの？」
「何が」
「ムッとしてるように見える」
「それ気付くのに原因には思い至らんのかい」
原因と言われても、私の疚しさなんて1つくらいしか思い浮かばない。でもそれに気付いたにしては彼の怒り方に深刻さがないのだ。子どもが怒ってるくらいの、その程度の物にしか見えなくて正直可愛らしい。
「……分かんない」
「マジで言っとるん？」
「うん」
「人に食べカス付いてるとか濡れ衣着せといて忘れてるとかどうなん」
…………あー。そんな事も、あった。正直大したことには思ってなかったので今の今まで忘れていた。その程度のことで唇尖らせて不貞腐れてる宮くんが何だかおかしい。
「あったねそんなことも」
「ついさっきのことやろ。忘れるってどうなん？」
「特に……覚えてなくても……困らないし……？」
「なっ！」
言ってしまってからかなり酷い、というか適当な返事を返したことに気付いた。心優しい女の子とやらなら、“さっきは咄嗟にあれしか思い付かなくて、ごめんね”とでも言ったかもしれない。……でも咄嗟に思い付くのが相手にあらぬ疑いを掛ける方法って、どちらにしても性格は良くなさそうな気もしてきた。
「……坂城さん結構良い性格しとるやん」
「私別に真面目でもいい子でも無いもんね」
自分で真面目だとかいい子だとか名乗ったことも無い。まあ人に害を与えるような行動はしないから、強いて言うなら無害な人間ってところだろうか。
「真面目でもいい子でもないからもうお昼食べ始めるね」
「……そういう性格なん？」
「こういう性格だよ」
「ほーん。まあ俺も昼は食う」
釈然としないといった顔で弁当を食べ始め、そのまま眉間のシワも消えないので何となくのおかしさがずっと続く。と思ったら顔にも出てたらしい。
「……妙に楽しそうやな」
「あまり見ない顔が見れて楽しいかもしれない」
「こっちのセリフやわ。……なんで普段そんな感じで居ないん？」
……あ、顔、ちょっと強ばったかも。
上がった口角が無意識に下がりそうになるのを無理くりキープした。
“普段もこんな感じだけど宮くんが知らないだけじゃない？”
……そう言えなかったのは、空気を壊さない為だけじゃない。
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えま(プロフ) - せなけいこさん» そこまで言っていただけてただただ感謝です！！ ありがとうございます！！ (2020年10月3日 15時) (
レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
せなけいこ - 星の数が足りません！めっちゃ好きです！！ (2020年10月3日 14時) (レス) id: ef980343e4 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - おかか。ですか？さん» ありがとうございます！！ 作品を楽しんで頂けたようで幸いです！！ (2020年9月7日 18時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか？ - 私の語彙力がないせいで言い表せないんですけど、めっちゃ面白かったです！最高でした!! (2020年9月7日 17時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - せりなさん» 天才だなんて！！ 身に余る言葉です、ありがとうございます！！ (2020年5月13日 5時) (レス) id: 1055510b53 (このIDを非表示/違反報告)
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