【ハイキュー!!】君だけに伝えたいこと。【短編集】

【赤葦京治】さぐりあい（１） ページ17

〔あなたside〕




私は、その日、偶然愛犬の散歩をしていた。
土曜日で、肌寒くて、マフラーを鼻まであげて手袋もして。それでも寒い気もして。
そんな日だった。

なんで私が愛犬の散歩しなくちゃいけないの。母親の仕事なのに。母親が拾って来たのに。
なんて、どこか罰当たりのことを考えながら私は歩いていた。


「ちょ、どこいくのさ……」


母親がどのコースで散歩してるか知らなかったので、適当に歩いてたらどうやらいつもと違ったらしく。
愛犬の好奇心が爆発して寄り道だらけである。

住宅街にの入り組んだ道に入り込んで、もう帰れないかも。人もいないから、きっと道も聞けないし。

そう思ってたら、正面から人が来た。
ナイスタイミング。というか、住宅街なら人ぐらいいるか。


正面から来たその人は、なにやらジョギング中っぽい。
動きやすそうな格好で、走っている。

寒そうだ。

ジョギング＝おじさんおばさん。なんて考えが根付いてた私は、思わずその人の顔を凝視。

同年代ぐらいの、若い男。
ってか、高校生ぐらい。

知り合いにすごく似てる。
知り合いっていっても中学の頃の同級生。赤の他人以上、友達未満。そんな感じの人。


「……赤葦？」


声にならないぐらい小さい声で、私は思わずつぶやいた。

けど、そう思ったのは私だけみたいで。相手には聞こえてたらしい。

「赤葦だよ」と彼は小さく笑った。

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