30．何かが。 ページ30
俺の言葉にAはキョトンとした顔を見せた。
「…？…何って、何が？」
……へえー。
そうやって、とぼける的な。
顔に出てたのだろう。
「……ぶっさいく」
「いてっ」
鼻の頭をデコピンしてきた。
「そうやってとぼけないでよ、俺真面目に話してんだけど」
「真面目も何も……本当に、何のことかわかんないんだけど」
……Aのこの顔は、嘘をついてない顔だ。
本当に、わかっていない。
俺は溜息を吐きながら、Aから目を逸らして言った。
「俺がお菓子取りに行ってるときだよ」
シーン、と静まる部屋。
どうしよう。
やっぱり聞かないほうがよかったかな。
聞いた俺が、何故かとても後悔している。
だけどそんなに間を持たずに、沈黙は破られた。
「…………え、徹、トイレ行ってないんじゃん」
――――それは、まあ、そうだけども。
「そんなこと関係ないデショ！」
ダンッと拳をテーブルに叩いてAと向きあうと、彼女は大して気にする素振りも見せずに。
「あれかな、まつ毛取ってもらった時かな」
「…………え」
――――まつ毛……だって？
「まつ毛が見事に入っちゃったんだよね。取れないから岩泉に手伝ってもらったの」
「え、いや……だって、会話そんなんじゃなかったし……」
「だって岩泉目の中に容赦なく指入れてくるんだもん、痛いもん」
片目を押さえながら言うAに、肩の重い荷物が降りるような感覚があった。
「な、んだあ……」
隣ではおかしそうに笑っているA。
途端に羞恥に襲われて、俺は反対側を向いた。
扉からの位置的に、俺にはてっきり二人が…………そういうことを、しているのかと。
あれじゃあ、岩ちゃんの手も顔も見えない。
全て俺の勘違いだったということだ。
「なーに、私と岩泉がそういうことしてると思って心配になった？」
ほら、またその悪戯っぽい顔。
「……安心してよ、そんなのありえないから」
「……？」
「だって岩泉だよ？あ、徹もか、それは」
二人なんだから、そんなのありえない。
そう言ったAの言葉を聞いて、俺は、俺の中で何かがプツリと切れたのを感じた。
――――気づけば俺の下に、Aがいた。
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あお - この作品ほんと大好きです！ (2022年9月22日 22時) (
レス) @page41 id: 452b671271 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 泣きましたありがとうございます好きです（） (2021年5月4日 16時) (レス) id: e7d206068b (このIDを非表示/違反報告)
ｲｴｰｰｰｲ - めちゃ好きぃぃぃぃい大好きぃぃぃぃいあ゛あ゛っっっ (2021年3月31日 11時) (レス) id: 8c04e9d971 (このIDを非表示/違反報告)
ピ(プロフ) - はああぁぁぁぁぁぁぁぁ尊い尊い尊い尊い死ぬ (2020年10月25日 18時) (レス) id: 200e605a50 (このIDを非表示/違反報告)
はー - 心臓爆発するぐらいキュンキュンした！ (2019年9月20日 19時) (レス) id: 413b05e864 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼空
| 作成日時：2014年9月27日 12時
