15．阿吽。 ページ15
岩ちゃん！と、叫ぼうとして口を塞いだ。
チラッとアイツら二人に目を向けると、二人は背を向けてあちらへと歩いて行く。
ふう、と一息ついてから、俺は岩ちゃんに向かい合った。
「岩ちゃん、顔怖いよ！」
「アア"……？俺は元々こういう顔だっての……」
「違う！それは違う！」
ああもう、岩ちゃんの手の中にあるボールはもう既に空気が抜けている。
ボール、一個追加で買わなくちゃ。
「……ってそうじゃない、岩ちゃん、聞いてたの？」
「ああ。お前が変な動きをしながら外行くのが見えたからな」
「そう」
じゃあ、全部聞いてるんだ。
アイツの話。
「……ムカツク野郎だな……」
「思い出したら腹立ってきた！」
つまりはあれだ。
Aとは、本気で付き合ってるわけじゃあない。
遊び。
「Aのこと弄ぶなんて、いい度胸してるねぇ橋本君は……」
「クソ川のことなら放っておいたが……Aのことなら容赦しねえぞ」
……さすが俺ら、阿吽だね。
Aは、俺たち二人の中で、『ただの友達』なんて軽いものじゃない。
すごく大切で、大事な人。
特別なんだよ。
それを傷つけるのは、許さないよ。
「岩ちゃん、明日放課後、いいね」
「ああ、当然だ」
試合以外で、初めて岩ちゃんと意見が合った。
体育館に戻りながら、俺は一つの疑問。
――そういえば、岩ちゃんのAに対する"特別"は、どういう意味なんだろう。
俺と同じ？
よくわからないけど、特別？
それとも…………明確な意味が、あったりする？
嫌な不安に襲われながら、俺は岩ちゃんに聞いた。
「ねえ岩ちゃん」
「あ？」
「岩ちゃんにとって、Aって何？」
俺が聞くと、岩ちゃんは「ん？」と首をひねってしばらく考えた。
どうしてかはわからない。
けど、俺の考えている答えではありませんように。
何故かそんなことを思った。
岩ちゃんは、ゆっくり顔を上げて。
「………………母ちゃん」
「…………ハイ？」
「だから、母ちゃんだっての」
母ちゃん……。
Aが？岩ちゃんの？
「アイツは確かに俺ん中で特別だし、安心感もあるし、なんか親みてエな感覚なんだよ」
ふうん……？
何故かその答えに、安心した俺。
「少なくとも、お前の"特別"とは違えから安心しろ」
「…………？」
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あお - この作品ほんと大好きです！ (2022年9月22日 22時) (
レス) @page41 id: 452b671271 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 泣きましたありがとうございます好きです（） (2021年5月4日 16時) (レス) id: e7d206068b (このIDを非表示/違反報告)
ｲｴｰｰｰｲ - めちゃ好きぃぃぃぃい大好きぃぃぃぃいあ゛あ゛っっっ (2021年3月31日 11時) (レス) id: 8c04e9d971 (このIDを非表示/違反報告)
ピ(プロフ) - はああぁぁぁぁぁぁぁぁ尊い尊い尊い尊い死ぬ (2020年10月25日 18時) (レス) id: 200e605a50 (このIDを非表示/違反報告)
はー - 心臓爆発するぐらいキュンキュンした！ (2019年9月20日 19時) (レス) id: 413b05e864 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼空
| 作成日時：2014年9月27日 12時
