検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:136,497 hit

*菅原宅配員がお届けいたします。 ページ10

寒い寒い冬の日。


白い息を吐きながら頬を赤くしているのは、笑顔の素敵な宅配員さんだった。


色素の薄い髪に、ぴょこんと跳ねたアホ毛も特徴だ。


「うーっ寒い!はい、お届けです!」


「さっむ……ありがとうございます…」



薄着で出たため、とても寒い。


宅配員さんも頬や鼻が真っ赤になっている。



「…………あ、やばい」


「…?」


なに?と思って顔を上げると、宅配員さんは鼻を抑えて上を向いている。


何をしているんだろうと思ったら、宅配員さんはズズッと鼻をすすった。



「…………あ、ちょっと待ってくださいね!」


宅配員さんの行動の意味がわかった私は、家の中へ目的のものを取りに行った。



「はい、ティッシュどうぞ」


ポケットティッシュを差し出すと、鼻を抑えながら「んお〜!」と鼻声で喜ぶ宅配員さん。


どうやら、鼻をかみたかったらしい。


ブシューッと盛大に鼻をかむ宅配員さん。


そりゃあ、これだけ寒かったら鼻も出るだろう。



「風邪、引かないように気をつけてくださいね」


「ん!あんがとー」


ニッと親しみのある笑顔。

だけどその半分はティッシュと手で隠れてしまっている。



「んっとに寒いなー、鼻がとまらん、ふはは」


何が楽しいのか、笑いながら鼻をかみ続ける宅配員さん。


その姿を見ているのが楽しくて、私も笑ってしまう。



子供みたいだ、この人は。



「今、俺のこと子供みたいとか思ったでしょ」


「えっ」


「残念、大人です、君よりも大人です」


なんとなく、そんな空気はあった。

子供みたいだけど、頼れる先輩、みたいな。


宅配員さんは私の二つ上で、菅原孝支さんというそうだ。


通称、スガさん。



「スガさん……」


「はい」


ニシシと笑う素敵な笑顔は、先程と違い、もう隠れていない。



スガさんは「ありがとう」と、残り一枚だけとなったティッシュを私に返した。


「さて、もうひとふんばり!」


白い息を吐いたスガさん。


私は少し考えて。



玄関の近くに置いてあるカイロを取り出した。


不思議そうな顔をするスガさんの前で、私は高速で腕を振るう。


シャカシャカと音が鳴り、腕が痺れてきた。

けど、中のカイロはもう温かい。



「もうひとふんばり、です」



カイロを渡すと、スガさんはそれを受け取って自分の頬へ。






「…………あったかい」




彼の存在が、とても温かく感じた日。


白い雪の舞う、冬の出来事。



*菅原宅配員がお届けしました。

*影山宅配員がお届けいたします。→←*縁下宅配員がお届けいたします。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (660 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
470人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

れん - みな、かわええ。 (2018年2月12日 1時) (レス) id: 95e6190023 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー - スガさん、可愛い〜 ハイキューのキャラで一番好き! (2016年8月24日 21時) (レス) id: f1aab74f05 (このIDを非表示/違反報告)
夜月黒猫 - スガさん…可愛すぎかよぉぉ!!!天使と崇められるだけありますね、可愛すぎて悶えてます…っ!! (2016年8月11日 16時) (レス) id: c0e7fa7aa0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 他校バージョンも見たいです! (2016年7月16日 14時) (レス) id: 194608c3b5 (このIDを非表示/違反報告)
ソフィ☆(プロフ) - とてもキュンキュンしてヤバイです...心臓が破裂しそう(笑 (2015年8月12日 9時) (レス) id: f1ef5d76c7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蒼空 | 作成日時:2015年2月9日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。