episode9 ページ9
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父も母も兄もおじいちゃんもスリザリンには行かなかった。
俺だけの素質。その特別さに俺は胸を踊らせた。
ニッケルの隣に腰掛けるとすぐさま小声で話しかけられた。
「お前長かったな」
「だよねー。寝ちゃいそうだったもん」
「ねえ！きみ！！スキャマンダーの家の子だよね？！」
「あの！良かったら仲良くしてよ」
「今度お茶でもどうかしら？」
なんてスキャマンダーの家の子だからという理由で上級生に話しかけられる。
貴族なら貴族らしく話しかければいいのに彼ら興奮した様子で俺に話しかけてきた。
いつの間にか全員の組み分けを終え、ダンブルドア先生の一言でいきなり何も無かった目の前の皿に食材が登場する。
みんながウキウキした様子で食事にありつく。
「僕こんなに食べ切れる気がしない」
「残したら俺が全部食うさ」
「頼りになるねー」
ニッケルがそう言ってくれたおかげで俺は心置き無く好きな物に手をつけられた。
ニッケルが本当に俺の手をつけたもの全部食べたしね。ほんとに胃袋ブラックホールなんじゃないかとさえ思うね。
途中ゴーストが大量出現してビビり散らかして思わずニッケルの腕に飛びついたら、女子みたいなことすんなよって言われた。
そんなニッケルを睨みちらかした。しかし、お前は顔が可愛いから怖くないと眉間にデコピンを食らった。
この世で怖いものなんて人間の次に幽霊だからな。ほんとに怖いんだぞお前知らないのかと俺は心でグチグチと言っていた。
食事を終えると監督生に連れられ各寮の道案内とそれぞれの寮の入り方について教えてもらった。
動く階段については動く規則性を見つければすぐに何とかなりそうだ。
スリザリンの談話室は緑と黒を基調とされており、地下室ということもあり雰囲気がなんだかダークな感じがした。
「いいね、こういう感じ俺ワクワクする」
「部屋同じだといいね」
彼のワクワクすると言った発言は無視し、同室なことを期待すると、なんともまあルームメイトは俺とニッケルだけ。
「ついてるな！俺ら！」
「そんなに僕と2人きりが良かったの？」
「友達少なそうと言った割には俺も友達居ないしな」
「はっ、だっせ」
俺がぼそりとこぼせばニッケルは自身の枕を投げつけてきた。
簡単にそれをキャッチし彼へ投げ返した。
そうこうして疲れ果てて寝たのはきっと就寝時間のすぎた日付が変わる頃だったと思う。
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