episode48＿動物探し ページ48
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早速俺らはトランクから出て寝室の窓からおばあちゃんの家を出た。
薄暗く最低限のあかりしかないニューヨークはイギリスと違い静かだった。
「見てて思ったんだけど」
「え？」
「君たちみんなに好かれるだろ。特にカタカナ推奨は恋愛的でも老若男女から愛されてそうだ」
「そうかもね、おじいちゃんだって好かれるでしょ」
「え？」
「あ、あー、俺のね？おじいちゃんがね？好かれる人だったの」
なんて必死に誤魔化せばあ、あーとおじいちゃんは納得した。
まじでポロッと出ちゃう。無意識に出てくるんだけど心の中でもニュートって呼んだ方がいいよね。
これはもう癖つけなきゃまた同じことしちゃう。
「それを言ったらあんただってそうじゃないか」
「僕は人をイラつかせる」
ニュートのその言葉にジェイコブさんは気まずそうにあぁと零した。
「なぜパン屋を開こうと思った？」
「なんでって、今キツイんだよ。缶詰工場の仕事」
「ジェイコブさん缶詰工場で働いてんの、」
「そう。働き詰めでさ、人生なんてあったもんじゃない」
「缶詰好きか？！」
と食い気味にジェイコブさんに問いかけられ俺とニュートは咄嗟にいや、と声を漏らした。
「俺もだ。だからパンでみんなを幸せにしたいのさ！」
「俺、パン好きだよ。中でもジェイコブさんのパンは格別だ」
そういうとジェイコブさんは勢いよく俺の両肩を鷲掴み俺のパン食べたのか？！と聞いてきた。
「う、うん。ニュートとトランクを入れ違えた時に美味しそうだったからつい勝手に、ごめん」
「なんてことないさ！！何が一番美味かった？！」
「うーん、どれも美味しかったけどドーナツかなオレンジの皮の」
「そこまで言ってくれたのはあんたが初めてだ！！嬉しいよ！！」
そう言って今度は思いっきり抱きしめたジェイコブさん。まだ店を開けていないみたいだから俺が初めてのお客さんでいいのかな。
「おっとこっちだ」
ジェイコブさんが急に方向を変え俺ら二人もあとから続く。
「銀行の融資は貰えた？」
「、、、ダメ。担保がなくてね。軍隊暮らしが長過ぎたかな」
俺は思わず顔を下げてしまった。あっちの世界だったらいくらでもジェイコブさんに資金を渡せるのに。
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