episode34＿違う君 ページ34
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「最近のニューヨークは物騒なんだ。得体の知れないものが蠢いている」
「そうなんですね。親切にどうもありがとうございました」
俺の身に起きてること自体がなんかもう物騒だよ。
俺はとりあえずここがニューヨークということに驚きを隠せず、その人に何が物騒なのか聞きそびれたまま、別れた。
学生ローブに籠ひとつ抱えた俺は傍から見たら変に映るだろう。
ローブは学校のものからいつも私服で着ているものに変え、ルトは籠から出して籠を消した。
ここはニューヨークだ。法律だって違う。
それにここなら俺が学生だなんてバレないし。多分。
そんな軽い気持ちで魔法を使った。
ルトは不安げに俺を見上げた。
「大丈夫。きっと何とかなるよ。お前は賢いから。俺について来れる？」
そういうとルトは目を細めて俺に寄り添った。
とりあえず俺は当てもなく歩いてみた。ニューヨークまでどうやって来たんだ。
早く帰らなきゃラットに迷惑かけるしな、ていうか今気づいたけど俺の元いた場所は夜だったのに。
今は昼間だ。すごい明るい。場所だけじゃなく時間まで変わったのか？
何かの魔法でもかけられたかと疑いを隠せない俺はどうにか帰り方を見つけるまでの宿を取るために硬貨を換金しようと銀行へ向かった。
ニューヨークだし、きっと通過も違うよなあ。
銀行に向かうのは気が引ける。
なんたってニフラーが出たくてうずうずするんだ。
約束があるから決してポケットから出ては来ないけどもごもごと落ち着きが無くなる。
それに今換金する時にニフラーのポケットから一時的にだがお金を出したら、カンカンに怒るだろうな。
最寄りの銀行についたのだが銀行まで何やら演説のようなものが行われていた。
えー、すごく迷惑なんだけど、しかし他の人達を見ると意外と素通って中に入っていく人も多かった。
そんなことを考えていると急に演説をしていたおばさんが紺色のローブに四角いトランクを持った男性に話しかけた。
「あなた！我が友よ。何を求めていらした？」
「あぁ、いえ、通りかかっただけで」
「あなたは探求者？心理を追い求めるシーカー？」
「いや、僕はチェイサーです、」
今度は何？と思い彼に目をやると、見覚えのあるトランクに見覚えのある顔と声。
もしかしておじいちゃん？そう思ったのもつかの間彼の持っているトランクからニフラーが逃げ出した。
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