ーーと言うなの救済を (ページ6)

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次の日。
本当は少し遠い遊園地に行く予定だったのだが生憎の雨。昨日までは晴れていたのに狙ったように雨に降られると心が鬱でいっぱいになってしまう。

(折角母が可愛い服を持ってきてくれたのに…。)

玄関で精神年齢には似合わず不貞腐れてる私に父は傘を手に取り私に声をかけた。そして、傘を持った反対側を私に差し出した。

「今日は雨だから、お父さんのお気に入りの場所に行こうか」

その言葉に私は頷き手を取った。
私は今日の雨は嫌いだ。久々の父とのお出かけを邪魔したこの雨が。
だけど、雨は好きだ。雨が傘や地面にぶつかる瞬間、雨が降り注ぎ活発になる生物たち、雨が止んだあとの澄んだ空気と活き活きとした世界。あの空間がとても好き。
思考に浸っているとどうやら目的の場所に着いたようだ。

少し古びた貫禄のある小さな建物。
中に入ると、アンティーク品や家具,見たことのない物や大きな棚に並べられている数々の本。そして、レジと思わしきところには籠の中に居る色鮮やかな鳥が視界に入る。

「ここは父さんの友人の店なんだ。」

そう言って中に進む父を追うと、黒髪の美形なお兄さんが本を読んでいた。

「やあ、レグ。元気かい？今日は娘を連れてきたんだ」

さあ、ご挨拶なさいと背中を押されたので必然的になる上目遣いで控えめに挨拶をする。

「始めまして、Aと言います。以後お見知りおきを…」

「あぁ、元気だよ。Aちゃんか、二人にとても似ているよ。レグルシアって言います。レグやルシーってよく呼ばれてるから好きに呼んでくれると嬉しいよ。よろしくね。…にしても、貴方が来るなんて久しぶりでびっくりですよ。先輩」

この人は父の後輩なのか。
優しく微笑むその顔はもう神々しかった。しかも目尻が垂れたその瞳は蒼みがかった黒が広がっていた。

(綺麗)

レグさんの瞳に心を奪われていると、父と彼は奥の方に行くようで私に好きに見て回りなさいと言って消えていった。
最初は周りを見て、少ししてから探索を始めた。いつ作られたのか分からない古いものから袋に入ったままの埃一つついていない最新のデザインのものまで色々とあった。

最初は周りを見て、少ししてから探索を始めた。いつ作られたのか分からない古いものから袋に入ったままの埃一つついていない最新のデザインのものまで色々とあった。自身の見たことのない世界に触れるのは新鮮で探求心を擽られる。

(なんか、子供の時に戻ったみたい！)

前世の調度この頃に近くの小さな図書館を見つけて心を弾ませた事を思い出しながら奥へ奥へと歩みを進めた。