隠し事なんて。【梵天】 (ページ49)

今日:22 hit、昨日:12 hit、合計:40,704 hit

4 ページ49

「しかしなんで急にそんなこと…」

『んー？
　なんか雨音が羽邑の古参に舐められてるらしいのよ
　で、梵天幹部の私が継げばそいつらも何もできなくなるからって雨音が提案してきたの』

「なるほどなぁ…
　裏で動いてんのか？」

『証拠はまだないけど、雨音が言うにはそうらしいわ』

ココもだんだん難しそうな顔になってくる。

「ていうか、そんな面倒な問題をなんで俺に相談すんだよ」

大体、こういう時に真面目に話を聞いてくれる梵天幹部はココや鶴蝶、望月くらいだ。

他の奴らに大切な相談などできっこない。

『だって三途に相談なんかしてみな？
　どうせヤク極めて銃ぶっ放してはい終わりでしょ？
　ココとか鶴蝶とか望月とかに相談すんのが一番確実なの
　私の経験上ね』

「…確かにそうだな」

神妙な面持ちで頷くココ。

『そんで、私はどうすればいいの
　羽邑継いだら幹部として損があるのかないのか』

「どうなんだろうなぁ…
　もしかしたら羽邑の取引相手に付け込まれるかもしれねえけど…
　表向きは今まで通り雨音が組長ってことにしておけばどうにかなるんじゃね？」

『そういうことか
　内部では私が組長ってことになる
　雨音は飾りだと』

「そうだ
　飾りの組長だったら見下してた奴らも落ち着くんじゃないか」

さすが梵天の頭脳。

私も結構考えたはずなのだが、やっぱり最初からココに聞いておくべきだった。

『ねえあんたストーカー？

「開口一番それって酷くない？」

『自分の行動のヤバさ自覚してもらってもいいかなぁ
　さすがに行くところ全てに現れたらそりゃストーカー扱いにもなるだろ』

「まじ？
　俺そんなヤバいの？」

『……』

こいつは何なんだ。

自分の顔がいいからって調子に乗ってるのか？

別に私は人の顔を気にしないというのを知っているはず。

『あんたも面倒な仕事に巻き込まれて大変な思いすればいいのに』

「あんたも？
　Aも面倒な仕事に巻き込まれてんの？」

…しまった。

こいつにだけは隙を見せたくなかったのに。

『ちょっと、蘭
　えーと…
　雨音呼んできて』

「話逸らそうとしてんの丸わかりなんだけど」