隠し事なんて。【梵天】 (ページ43)

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いくら話していても埒があかないと判断し、尋問に向かう準備をする。

『とりあえずその問題は置いといて
　尋問行くよ』

「え、またですか？
　こんな短期間にいっぱいやるものなんですか尋問って」

『いや、普段はそんなことない
　裏があるかも知れないから、一応ボイスレコーダー持ってきといて』

「分かりました」

理解が早くて助かる。

やっぱりずっと裏社会に身を置いてきただけあって、私の言うことをすぐ飲み込む。

使いやすくていい。

「もしかして今日の尋問ってあの息子ですか？」

『察しがいいな
　その通りだよ』

「ですよね」

『嫌なのか？あいつ』

聞くまでもない。

嫌いだというオーラが顔に出ている。

「ちょっと嫌いですね」

『そうか
　まあ嫌いな奴の死を目の前で見れるんだからな
　よかったじゃんか』

「あ、確かに
　いい仕事ですね」

途端に笑顔になった雨音に少し引く。

いや、だいぶ引く。

「なあにAさん引いちゃってんですか
　Aさんだって結構なサイコパスですよ
　もしかして自覚なしですか？」

『調子乗んな』

冷凍倉庫に到着し、縛られている男を見て黒い笑顔を貼り付けている雨音を無視して尋問を始める。

『はい尋問するよー
　まずー…
　こいつ知ってる？
　知らないわけないんだけどね』

「え」

そう言いながら雨音を前に突き出す。

「ちょ、え？
　殺していいんですか？」

混乱して変なことを言い出した雨音を片腕で制す。

『早まるな
　どうせ殺すんだったら搾ってからの方がいいだろ』

「あー、情報をですか」

あからさまに残念そうな顔をする雨音。

そしてそれを見て小刻みに震え出す男。

本当に知り合いなのか。

「Aさん
　こいつ多分Aさんが表情読まなくても大丈夫ですよ
　銃で脅せばすぐ喋りだしそう」

相変わらず真っ黒な笑みを湛えた顔で私に話しかけてくる。

『ふーん
　じゃあ雨音がやって
　私休憩ー』

「え、ずる」

『なんか言ったー？』

「何も言ってませんすいませんでしたずるいとか微塵も思ってないですから」

『全力で思ってるじゃん』

分かりやすすぎるだろ。