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＜Aside>
「…Aさん
本当に大丈夫ですか？」
『ああ』
「ならいいんですけど…」
『お前、この会話何回目だよ
もう軽く5回はしてるぞ』
「そんなしてます？」
『してる』
ここは鳥野文具の本社ビル。
私が目を覚ましてから数十分後。
私と神山は、一瀬謙二殺害のためこのビルに侵入した。
今いるのは謙二の部屋の中、大きな本棚の陰。
部屋の中に謙二はいない。
私の腰のホルスターには愛銃が二丁。
もし謙二が誰かを連れてきたとしても対処できるだろう。
もうすぐで会議が終わり、この部屋に戻ってくるはずだ。
それまで待つ。
そのまま2、3分待った。
不意に足音がして、この部屋に近づいてくる。
『来た
扉開けた瞬間に取り押さえろ』
「はい」
ガチャ
「うぐっ…」
「静かにしてろ
こっちは銃を持っている」
部屋に入ってきた謙二をすぐさま拘束する神山。
見ると、口にタオルを押し当て喋れないようにしてある。
『有能だなぁ、お前』
助かった。と声をかけながら謙二に近づく。
謙二は目を見開き、私を見上げる。
笑いが込み上げてきた。
『いやぁ、1人で来てくれてよかったよ
護衛でもついてると思ってたんだけどな』
「……」
何か言いたそうにしているが、タオルがあり何も言えない。
おもむろに銃を取り出し、頭に突きつける。
謙二の顔が青ざめていく。
『お前は長いこと私を苦しめてきた
私の父と母もだ
その罪は刑罰上では軽いかもしれないが
反社である私に法律は通用しない
存在自体が法律に背いているからな』
神山は空気を読んで静かにしている。
『だから
今、ここで
お前を殺す』
ゆっくりと口に出す。
重苦しい沈黙が部屋に充満した。
『しかしまあ、遺言もなしに死ぬのも何だから
最後の一言くらい聞いてやるよ』
タオル外せ。と神山に伝え、喋れるようにしてやる。
『さあ、何か言いたいことがあるなら言ってみろ
言わないなら殺すぞ』
脅すと、謙二はようやく口を開いた。
「…社長は今神奈川にいる」
『は？
それだけか？』
それではまるで裏切りだ。
少なくとも最後の言葉とは思えない、不思議な答え方だった。
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作者名：ユキネコ x他1人 | 作成日時：2022年9月1日 10時
