モーニングスター家の次女【ハズビンホテル】 (ページ5)

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　地獄には七つの階層が存在する。下の階から順にベルフェゴールの治める『怠惰の層(スロース・リング)』、レヴィアタンの治める『嫉妬の層(エンヴィー・リング)』、ベルゼブブの治める『暴食の層(グラトニー・リング)』、アスモデウスの治める『色欲の層(ラスト・リング)』、マモンの治める『強欲の層(グリード・リング)』、サタンの治める『憤怒の層(ラース・リング)』、そしてルシファーの治める『傲慢の層(プライド・リング)』だ。

　この世界に住む悪魔の序列は大まかに七つある。上から地獄の支配者ルシファー、娘のチャーリーとA、六人の大罪の悪魔、ゴエティアの一族、元人間の上級悪魔(オーバーロード) (罪人の中でも強い力を持つ存在)、罪人、インキュバスやサキュバスを含めた悪魔、最も社会的地位が低いとされているのがインプやヘルハウンドである。
　大半の地獄生まれの純粋な悪魔よりも、死後悪魔に転生した罪人のほうが力が上とされているのは、人類最初の罪にルシファーが関わっていたからだろうか。仮にそうなら全ての罪人がプライド・リングでしか暮らせないのも頷ける。

　年に一度に行われる粛清(エクスターミネーション)ではエクソシストと呼ばれる天使軍が罪人の悪魔たちを虐殺し、増えすぎた人口を減らしてきた。だが、天国に行ける人間が限られている分、地獄に落ちる人間も必然的に多くなるため、過密状態を防ぐことはできていない。

　ちなみにチャーリーやAを含めて地獄生まれの悪魔は恩赦によってエクスターミネーションの標的からは除外されているが、かといって反対に罪人でも全ての極悪人が殺されるというわけではない。現に罪人の中でも強い力を持つオーバーロードの中には死んだ後でも弱者を虐げ、第二の人生を楽しんでいる者もいる。

　彼らほど凶悪ではない罪人も好き放題暴れ回っており、プライド・リングに住む地獄生まれの悪魔たちは困り果てていた。この場所で商売をするにしても、遊び半分に店を壊されることもあるからだ。

　ルシファーは罪人たちを心の底から軽蔑していたが、決まって最後には『悪人が蔓延るようになったのはエデンでの私の過ちのせいだ』と自分を責めてきた。

　もしも娘たちが罪人に襲われるようなことがあってしまえば……悔やんでも悔やみきれない。何としてでも家族を守らなければ。そのためにはエクスターミネーションも必要なことなのだ。