男性恐怖症の私が株式会社Ｓに入り、また、一から……やり直します…。

第259話 やっと… ページ32

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それから数日後…。

貴｢わぁ！空気が綺麗だねー！｣

蒼井｢そうかな？ただ田舎なだけだよ。｣

僕達は僕の実家がある福井県に来た。

蒼井｢こっちだよ！｣

貴｢うん！｣

初めての場所で、Aもテンションが上がっているようだ。

しばらく歩くと、見慣れた道が来た。

｢あれ？翔太じゃね？｣

ふと、横から声がした。

蒼井｢え…？…ｯ…！｣

横から来たのは、むかし、僕をいじめていたグループのリーダー的存在の人だった。

｢なんでここにいんの？あぁ、もしかして、芸能界はあんまり甘くないっていうし、お前売れなかったんだろ？｣

蒼井｢…あんたには関係ない。｣

｢なんだよ！せっかく人が励まそうと…｣

そこまで言うと、そいつはAを見た。

｢うわっ！？誰だ！？こいつ！すっげー可愛いじゃん！！なぁなぁ、俺とどっか遊びに行かねー？こんなやつほっといてさー！｣

貴｢…貴方、誰ですか？そんなふうに人を誘う前に、自分の名前名乗ったらどうですか？あと、私、あなたみたいな人、嫌いです。｣

｢はぁ！？なんだよ！｣

貴｢なんですか？それはこっちのセリフです！私たちの邪魔、しないでください。鬱陶しいです。｣

｢ｯ…生意気な野郎…！｣

蒼井｢…！｣

そいつは、Aに殴りかかろうとした。

蒼井｢A！｣

僕はとっさにAを抱きしめる形で庇った。

｢あぁ！？なんだよ！出来てんのかよ！翔太のくせに！｣

蒼井｢…行こう。A。こんなやつほっといて。｣

貴｢うん。｣

｢ウゼー…。翔太のくせに、生意気なんだよ。｣

蒼井｢悪いけど、今の“俺”は、昔の“僕”じゃない。何？殴りたいの？殴れば？ネットで騒がれるのを覚悟で、ならね？｣

｢はぁ！？なんでだよ。お前なんかの心配を誰が…｣

貴｢ファンが、よ。貴方、知らないの？翔太、今すっごい人気なんだよ？CDのシングル５枚、アルバム１枚、武道館ライブも大成功。ファンももう10何万人もいる。もし、翔太が顔に傷でもおったなら…ファンは黙ってないよ。｣

｢ｯ…！｣

蒼井｢…ありがとう。そういうことだから、俺達の前から消えて？｣

｢ﾁｯ…！｣

そいつは、俺を睨みつけてからその場を去った。

蒼井｢行こう？｣

貴｢うん。｣

しばらく歩いていると、懐かしい一軒家が見えてきた。

蒼井｢…ここだよ。僕達の、家族になる人たちがいるのは…。｣

貴｢…｣

Aは家を見上げた。

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