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12:Good night...? ページ13

「桜…なんでそんなに離れるんだい!?」
「当たり前です!というよりそこまで離れていませんよ!?」

2つの布団が隣同士。十分に近い場所で私とアルフレッドは横になる。
私はなるべく距離を、と思いアルフレッドから遠い布団端に行くと文句を言われた。
「スゴく離れてるじゃないか!これじゃお化けが2人間に入ってもおかしくないよ!」
そんなこと言われても…おばけなんて居る訳がないのに…。
「お化けなんて居ませんよ。では。」
未だに騒ぐ相手を無視して背中を向ける。
仕事の疲れもあってすぐに眠れそう…。


「桜…ねぇ桜……もう寝たのかい…?」
不安そうな声色が後ろから聞こえる。
私はそれを無視して夢の中へと落ちそうな感覚に身を任せる。
…心地良い……。



バサッ


「…っ!?」
突然の息苦しさ、そして何かに包まれたような感覚に思わず目を開ける。
なにごとかと身をよじらせると人の腕。
それは微かに震えていて、辿れば先程まで騒がしくしていた彼の姿。
一瞬脳が追いつかなくなったが今の状況を整理する。


…私はアルフレッドに今抱きしめられている。


「ぇ、あ…なに……」
「…音がした……」
困惑する私に震える声でポツリと呟く。…音?
彼は俯いたまま指を差す。
そこへ視線を向けると障子。私は目を凝らした。


…にゃー

猫の声。
…なんだただの野良猫じゃないか。過敏になりすぎてちょっとの音でも反応してしまったのだろう。
「ただの猫ですよ。大丈夫ですから…」
ぽんぽん、と柔らかな彼の髪を撫でる。
本当に子供だなぁ…。
なんて思っていると更に強まる腕の力。
「……あの、大丈夫ですよ…?」
少し苦しい。俯いたままの彼の顔を覗き込み、大丈夫だともう一度言う。
「…桜。」
真剣な瞳が私を見つめる。
いつも眼鏡で隠れていた綺麗な目が、吸い込まれるように私は視線をそらせなかった。
そんな私に優しく笑いかける。こんな綺麗な表情、私は一度も見たことがない。優しく、寂しそうな微笑み。
彼は私を再び胸に収めた。視界の前は彼の胸板。

…顔が熱い…心臓が飛びでそう……ただの怖がりなアルフレッドに私は、なんで……。
頭が溶けたようにくらくらする。
「………」
頭上からは規則正しい寝息が聞こえた。
あぁもう、この人は…!
変に意識をした私が恥ずかしい…!
もぞもぞと動くも、中々引きはがせない。
私は諦めてそのまま眠ることにした。



(……眠れない。)

13:Scone.→←11:Horror.



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限界米領(プロフ) - 華氷さん» コメントありがとうございます!日常的な会話などが好きなので過激にならないようにしてますのでそう言っていただけるとすごく嬉しいです!今後もほっこりするようなお話になるように頑張っていきます! (2019年10月18日 0時) (レス) id: f4d846ffd6 (このIDを非表示/違反報告)
華氷(プロフ) - すごく面白くて可愛らしい物語ですね!とても大好きです!更新楽しみに待っております!頑張って下さい!! (2019年10月17日 11時) (レス) id: 73a83246d3 (このIDを非表示/違反報告)
限界米領(プロフ) - スコ―ンさん» コメントありがとうございます!面白いと思ってくださってとても光栄です!拙い文章ではございますが、今後も更新ペースを落とさないように頑張ります! (2019年10月14日 1時) (レス) id: f4d846ffd6 (このIDを非表示/違反報告)
スコ―ン(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます!(*´▽`*) (2019年10月13日 21時) (レス) id: 92f83285a3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:限界米領 | 作成日時:2019年10月9日 0時

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