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しっかし、ここまで無いやつも珍しいな。巳緑は平気なのか｣
耐性が遺伝ではないのか気になった獄寺が問う。
｢ああ、僕は別に。景色が変わったことくらいしかわからないよ。それにしてもこれが故意に起こされているのなら、犯人は見つけるべきだろう。つまらない真似をしてくれるねえ｣
呆気らかんと言い放つ巳緑が再度ミラーを覗くも彼の視界には赤い光が揺らめいている。
｢僕、やっぱりひとつ確認したいことがあるんだ。何色？｣
一際大きいミラーを指差した巳緑に従い全員が同じ方向を向く。
｢紫｣
｢赤｣
｢オレンジ、かな｣
｢僕は赤だよ｣
何これ、と一人長考に入ろうとする巳緑以外の人間にはピンと来ているようで、獄寺と沢田は目を見合わせる。
｢噂が青白い光だったのって、今まで雨の炎の人間しかここに入れなかったから……？｣
｢妥当な線っスね｣
雨の炎、という言葉でやっとわかった巳緑がああと声を漏らす。
｢つまり僕は獄寺くんと同じなんだね｣
｢……雨だと思ってたぜ、アンタのこと｣
｢僕がそんなに優しく見えるなら結構なことだね｣
獄寺が柔らかく笑った巳緑を一睨みする。それに全く怯む様子無く笑みを絶やさない巳緑が、ひょいと視線を避け雲雀に話しかける。
｢恭弥くん何かわかったかい？｣
｢……右前の家から奥に三軒、更に右手に四軒。そこの裏手に誰かいる｣
ここからだと逃げられる。そう踏んで動かずにいる雲雀がじっと自分の言葉で指した方向を見ている。
｢お前、化け物並みに気配わかるよな｣
呆れた、と茶々を入れる獄寺に一瞬怪訝な顔を向ける。
｢気配？僕は幻術師なんていう馬鹿げた人種の性格の悪さを知ってるだけ｣
｢どっこいどっこいだろ｣
｢ご、獄寺君｣
こんな状況で呑気に突っかかる獄寺を宥めた沢田の横を巳緑が通り過ぎる。
え、と思わず声を出した沢田が引きとめようと手を伸ばすも、それはひらりと風に煽られた軽い布のように避けられる。
｢僕、幻術には詳しくないから注意事項だけ教えてくれるかい？｣
｢……実体を持つものもある｣
｢凄いね、幻覚の域を超えているよ｣
あはは、とそのまま道を進んでいく巳緑を雲雀が止めようとしないのに焦った沢田が走り出そうとするも、雲雀によって抑えられる。
｢ちょ、ちょっと！｣
｢僕に任せておくれ、沢田くん。大丈夫、なんとしても情報だけは引きずり出してくるからね｣
道の子供の横を堂々と通り抜けた巳緑は、緩慢に手を振って道の先へと消えてしまった。
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さとう(プロフ) - コメント失礼します。とっても面白くて何回も読み返してしまいます！夢主ちゃんと雲雀さんの歪な関係がとてもグッときます。影ながらいつも応援しております。更新無理せず頑張ってください！ (2019年6月18日 23時) (
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作者名：銀竹 | 作成日時：2019年5月28日 20時
