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二度とあの小さな檻から出てこなければいい。吐き気がする。君が誰かに求められていると思うかい？多数に愛されていると？馬鹿馬鹿しいね。
愛しさとは程遠い君の行く末を見てあげよう。僕の可愛い可愛い妹。可哀想で、可哀想なままが一番可愛い、無知で低俗で汚らわしい妹。
死ぬ間際に僕の言葉を思い出すといい。それとも今、死ぬより辛い恥辱が欲しい？あの時みたいに｣
薄い唇から漏れる下衆な言葉に顔を顰めると、そう怒らないでおくれ、なんていつも通り笑う。
異常者だ。私も恭弥さんも、この人も。幼少から埋まらない溝と他人への激情が消化できずに胸の内に煮えたぎっている。
｢僕はね、君を憎んでいるれど、愛しているよ。愛しているから、君がグチャグチャになるまで閉じ込めて死ぬ様を見たい。僕から一生離れないでね｣
それは愛ではない。愛なんて、熱いものじゃない。
冷え切っていて、私をどこまでも追い詰める兄は、私を愛してなんていない。
私は兄を、
｢くだらない。兄妹喧嘩なら他所でやって。僕の前でされると目障り｣
いつの間にか着いていた玄関に追いついてきた恭弥さんが厭に不機嫌そうに兄を蹴飛ばす。酷いじゃないか、とヘラヘラ笑う兄は、私といる時とは別人だ。
私に、私は。
兄の真っ白な着物の裾を眺める。どうして私はこうなのだろうか。
｢いつまで突っ立ってるつもり。早くして｣
パラパラと多種多様な革靴が転がる玄関。今日も何人か本低に訪れていることを表すその光景は少々汚らしい。無骨な男達なりにもう少し揃えて置くことを覚えて欲しい。
尚も晴れない眠気にフラつきながら下駄箱から自分の靴を取り出し急いで履く。
焦っていたのが悪いのか、それとも今の私ならいつも通り行動していても大して変わらないのか、立ち上がった瞬間に膝が折れる。
後ろへ倒れこんだおかげか恭弥さんに支えられる。危なかった。受け止められなかったら直で床に頭をご挨拶よろしくぶつけていただろう。
｢おい平気か｣
｢あ、ああ、大丈夫です｣
獄寺さんの心配する声に多少照れながら返す。
何故か既に自立できる私の手を離さない恭弥さんに苦笑しながら外へ出る。薄暗かった廊下とは違いハツラツとした輝きに目を逸らした私の隣で猫のように目を細める恭弥さん。
日差しは強いものの、まだ六月と言うこともあり風は涼しい。時折吹いてくるそれに感謝をしながら、私達一向は十字路へと向かうこととなった。
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さとう(プロフ) - コメント失礼します。とっても面白くて何回も読み返してしまいます！夢主ちゃんと雲雀さんの歪な関係がとてもグッときます。影ながらいつも応援しております。更新無理せず頑張ってください！ (2019年6月18日 23時) (
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作者名：銀竹 | 作成日時：2019年5月28日 20時
