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そもそもあの雲雀さんが女性と結婚、ということ事態聞いた時は驚いたものだけれど、形だけのものだと納得していた。
でもそう思っていた過去の俺にこの光景を見せてやりたい。
触られることすら嫌がる。確かにこの人は誰とでも一定の距離を取りたがるし、必要以上の接触も会話も好まない。人がいるだけでストレスだと吐いて捨てた。
だから畳に横たえられたAさんの頭を撫で手を取る雲雀さんが、本物かどうか少し、否、大分疑っている。
容姿が良いからか、大変様になるその行動を見てしまったことに罪悪感を覚える。多分、俺が見るべきものではなかった。
ゆっくり目を逸らし獄寺君の方を見るとこちらもこちらでバツが悪そうな顔をしている。
君は自分で突っ込んで行った身だろう。
何か言い様のない痒さに襲われながら獄寺君とアイコンタクトを取っていれば、雲雀さんが立ち上がる。こちらへ距離を詰めて来たかと思うといつも通り不機嫌そうな顔で言葉を発する。
｢獄寺隼人｣
｢うぉ、なんだよ｣
肩を跳ねさせた獄寺君に雲雀さんは手を差し出す。
｢雨のリング。持ってるだろ｣
｢は？持ってるが……｣
寄越せと言わんばかりの視線に、先程の罪悪感からか負けた獄寺君が素直に出すと、さっさと対面側へ戻っていってしまった。
いったいなんなのだろう。
ぼうっと眺めていると雲雀さんがAさんの鳩尾辺りを緩く押す。息苦しさに目を覚ました彼女が顔を歪めている。
｢起こし方もっとありますよね｣
｢君が呼吸を塞ぐなって言った｣
｢横隔膜は呼吸に必須なので同じと見なします｣
雲雀さんは軽く呻き起きる彼女を手伝いながら、彼女の指に獄寺君から受け取ったリングを嵌める。
彼女は不思議そうにそれを受け入れながらも外しはしない。
｢君は僕に一生着いてくる気があるの｣
起き抜けに突然ヘビーな話を振られたAさんが状況を飲み込めずに目をぱちぱちと開閉させる。
｢ありますよ｣
彼女が応えた瞬間、リングから青白い炎が上がる。
｢雨の炎……！｣
獄寺君が口をあんぐりと開けて驚いている。各言う俺も衝撃を受けている。
｢当たりだ｣
突然手から発火したのに硬直してしまったAさんの指からリングを抜き取り獄寺君に投げ渡す雲雀さん。当たり、という言葉からしてやはり予想をしていたらしい。
｢炎、いや、プロポーズ、何が何だか｣
頭の上に疑問符を浮かび上げた彼女が目を白黒させ眠そうに頭を抑えた。
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さとう(プロフ) - コメント失礼します。とっても面白くて何回も読み返してしまいます！夢主ちゃんと雲雀さんの歪な関係がとてもグッときます。影ながらいつも応援しております。更新無理せず頑張ってください！ (2019年6月18日 23時) (
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作者名：銀竹 | 作成日時：2019年5月28日 20時
