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｢……僕が原因なのはわかった｣
｢理解を得られたようで何よりです｣
私をようやく腕から解放した彼が正面に私を見据えて一言。
｢元々だよ｣
ご最もであった。わかってますよと笑おうとしたところで手を掴まれる。
｢え、あの｣
｢冗談。僕が嫌いな人間を傍におくわけない｣
目が、苦手だ。この人の目が昔から、ずっと、見られる度に死にたくなる。何故なのかは知らない。知りたくもない。
知ったら何もかも終わってしまう気がして、考えていない。この世には知らなくていいことが多すぎる。
私は与えられるまで決して欲しいと口に出したくないのだ。要らないことをしたくない。何故かって、理由は、欲しくないから。
私は私が可愛くて仕方がないから。
自己防衛を見抜くような視線が、体温が、大嫌いで、憎くて、気持ち悪くて、苦手で、どうしても知りたくなる。
彼しかいないのだ。幼少に呼んだ名をずっと呼んでいる。恭弥君、と彼を朗らかに呼ぶ兄の声が昔の自分と被って気持ち悪くなる。
どうしてこんなにも歪んでしまったのだろうか。
何になのか、いつも許しを乞うて生きている。許してくれと歯を食いしばって自罰で愛されている気分に浸っている。
彼の傍しかないと言いながら、彼に知られたくない。自らの汚さを知覚して欲しくない。
少なくとも好感を持って接してくれている彼に申し訳が立たない。私は良い人には永遠になれないのだ。
｢この言葉でさえ君の不安になるのなら、これ以上僕は何を言えばいいのかわからない｣
彼の白い肌が夕陽に照らされて一層人間味を減らす。死体みたいだ、なんてぼんやりと思う私を置いて彼の話は進んでいく。
｢僕は君が好きだよ。たぶん、君が思っているよりずっと｣
そう言って僅かに微笑んだ彼。
あまりの衝撃にフリーズしてしまった。今なんて言ったんだこの人。というか、久しぶりに純粋な笑みを見たような気がする。
顔に熱が集まる感覚がして咄嗟に下を見る。
どっ、だ、だって、なんなんだこの人は。
心の中ですらどもる。理解できない。薄々勘づいてはいたが、この人はやっぱり他人との距離をわかっていないんじゃないのか。
｢勘違いしそうなのでその物言いはちょっと、やめてもらっていいですか｣
｢何が｣
｢いや何って｣
思春期の男女間で好きだなんだはどっちのことなのか勘繰ってしまう。勿論彼が色恋沙汰に興味があるとも思えないので、どっちも何も無いとは思うのだが、そこを深読みするのが思春期だ。
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さとう(プロフ) - コメント失礼します。とっても面白くて何回も読み返してしまいます！夢主ちゃんと雲雀さんの歪な関係がとてもグッときます。影ながらいつも応援しております。更新無理せず頑張ってください！ (2019年6月18日 23時) (
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作者名：銀竹 | 作成日時：2019年5月28日 20時
