10.訪問 ページ25
｢そんな感じの話、らしい｣
｢へえ。なんでまた俺なんスかね｣
結局あの後に何がどうという詳細な話は回って来ず、巳緑さんの残して行った紙切れに書かれた連絡先もよくわからない。かけて良いものかずっと迷っているのだ。
オカルト話を聞きたがる雲雀さんというものが珍しく俺達の間では不思議に思いながらも好奇心がわいている。呼び付けられた獄寺君もまた例外なく何が起きたのだと首を傾げていた。
道玄組、もとい雲雀さんによる並盛自警団のようになった組織であるAさんの本邸へと向かう道中獄寺君が事の経緯は話してくれた。
が、それが今回の話にどう繋がるのかわからないのが本音だ。
｢A、こういうのに興味あるんすかね？でも、だったら本人が直接俺に聞きに来れば良いだけですもんね｣
｢う〜ん……もし甘やかしてるって話にしても、あの雲雀さんが巳緑さんまで使って来る理由がいまいち想像出来ないよね｣
ウンウンと唸り二人でやけに暑い六月の道を歩く。コンクリートに反射された熱が俺達の足元を囲んで、六月に見合わぬ湿気の少ない暑さを作り出す。
帰りにアイスでも買おうかな。
隣を歩く獄寺君が同じことを考えていたようで、帰りコンビニ寄っていいすか？と聞いてくるのに賛同しながら顔を上げる。
相も変わらず気圧される雰囲気を持つ日本家屋が俺達の前にある。雲雀さんの家と並べても特に遜色なしの敷地面積と造りは西洋の建造物と比べれば豪華とは言い難く、見劣りするものの、少なくとも俺を圧倒するに充分なものを持っている。
隣の獄寺君は二度目の上宰之家にじゃっぽねーぜ……と小さく呟いて目を輝かせている。こういうのもツボらしい。
君は君で城のようなところで過ごしていなかっただろうか。
大きな門の隣にあるこの景色にはミスマッチなインターホンを押すと、機械から無骨な男の声の次に、肉声で聞こえてくる大声。もうこれインターホンの意味を成していないだろうと苦笑いをする。
俺らを迎えてくれたのは屈強な男の人達、ではなく巳緑さんだった。
｢やあやあ暑い中御足労いただいて申し訳ないね。冷たいお茶も淹れたし、早く上がって寛いでおくれ｣
柔らかな笑みを浮かべ、門の右隣にある小さな戸を開いた彼が俺達を急かす。汗もこんなにかいてしまったね、とタオルを渡してくれる巳緑さんは何だかお兄さんのようだ。いや、Aさんの兄ではあるのだが。
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さとう(プロフ) - コメント失礼します。とっても面白くて何回も読み返してしまいます！夢主ちゃんと雲雀さんの歪な関係がとてもグッときます。影ながらいつも応援しております。更新無理せず頑張ってください！ (2019年6月18日 23時) (
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作者名：銀竹 | 作成日時：2019年5月28日 20時
