拝啓ドッペルゲンガー【歌い手】 (ページ19)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:10,521 hit

十三話ページ19

ーーーーーーーーーーーー

『………ん』

ふと目を覚ます

""私の部屋""

目の前にあるモノ

モノではなく、"ヒト"だ

『私』

私「私だよ。」

『なんの用？』

私「ワタシの生気は全て吸い取った。貴方に残った気力は、呼吸しようとする力と、なんとか喋ろうとする力だけ」

『……つ、まり？』

私「ワタシは生きられない。アシタが、ワタシの、さいゴ」

『最期』

今は夜の10時

アシタまで＿＿＿

私「あとヒトツ。アシタの、いつかにシヌ。」

『…私、死にたくない』

私「ダイジョウブ。ワタシの変わりに、私がいるから。誰も、ワタシが死んだなんてしらナイ。」

ワタシの意識で動くことができない私が生きる

私は……

もっと、生きたかった

悠……

私「私がココの世界で生きていく力がすでに揃ってる。ワタシが死んだ途端、私が出る」

『……』

だんだん気力がなくなってくる

喋るのも必死

ああ

ほんとに死ぬんだな

病気とか事故とかじゃなくて

嘘だと信じてた「ドッペルゲンガー」のせいで死ぬなんて

神様も酷いなぁ

悠とずっといたかった

私「たくさん、アリガトウ。ちゃんとワタシの分まで生きてやるから」

それだけ言って

消えようとした

『……まって』

喋ることもままならないのに私は力を振り絞り声を出す

『最期に言わせて』

私「ナニ？」

『…悠を悲しませちゃ、ダメ。私との約束…。』

私「私はワタシなんだから当たり前ダヨ」

『……ふふ…私ならそう言うと思った』

私「それだけか」

『………私はアナタが好きよ』

私「…………こんな風に死んでいくニンゲン初めて」

『私の分まで生きてよ』

私「言われなくても分かってる」

最期

私が私と会話したのがこれで終わり

明日のいつかか……

目の前から消えた私

今度は

私の番

私が

誰かの分まで生きる番だ

＿＿＿＿