其の肆 黒田家 ページ10
姫国side
姫国「はぁー」
結局、薬研とは喧嘩別れしちゃったなぁ・・・
長谷部「薬研のことか?」
姫国「うん・・・」
長谷部「俺たちは人より長くこの世にある。また会うことだってあるさ」
姫国「うん・・・」
長谷部「それより、屋敷が騒がしいな」
姫国「確かに」
話し声が聞こえた
「それは真か!?」
「はっ。信長様は本能寺にて自害。信忠様もお亡くなりになっております!」
「それと、本能寺も焼け落ちたと」
「小姓、森蘭丸も亡くなったと」
次々に報告される本能寺での出来事
皆は、焼けたの?死んじゃったの?
姫国「皆、はっ。生きてる。きっと生き、てる」
視界が滲む
兄さんが優しく背中をさする
誰かが、鼻を啜る音が聞こえた
月日は流れ、江戸時代中頃
博多「はぁー。大赤字たい」
姫国「何が?」
博多「コレたい!」
と言って小判を突き出す
姫国「あぁ〜成る程ね」
日光「誰も売りに出されないと良いんだが」
びっくりした
姫国「流石に誰も売られはしませんよ。きっと」
長谷部「どうだか・・・」
ひそひそと話す声が聞こえた
「止めろ。お咎めを受けるぞ!」
「ええい!うるさいわ!」
そう言って僕を持ち出す
日光「嫌な予感がする」
長谷部「咎め、と言っていたな」
僕たちは本体から遠く離れるわけにはいかない
取り敢えず全員でその二人についていく。と、炎の中に僕を放り込もうとしていた
「魔王の刀など恐ろしい!」
日光「なっ!」
長谷部「止めろ!」
僕たちは人には見えない
今回ばかりはそれを恨んだ
姫国「止めてよ!」
まだ、薬研と仲直り出来てないんだ
また会えるって約束したんだ
約束を破るわけにはいかないんだ・・・!
「何をしている!」
良かった、止めてくれた
「その刀は質に入れることが決まっている。余計な傷をつけるな」
長谷部「え、」
兄さんと離れ離れになるの?
打たれてからずっと一緒にいた兄弟だ
離れ離れになるなんて想像したこともなかった
日光「行ってしまうのだな」
姫国「強制的に、ですけどね」
兄さんはあれからいつもよりずっと口数が減った
姫国「兄さん」
そう言って兄さんに抱きつく
姫国「また、会えるよ。絶対折れやしないから」
長谷部「絶対だからな・・・!」
それから・・・・・・
あれ?それからどうなったんだっけ?
思い出せないや・・・
視界が明るくなる
姫国「ん・・・」
長谷部「姫国!」
姫国「兄さん・・・?」
ほらね、"また"会えた
ふと視線を横に向けると、"赤い襟巻きをした人"がいた
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作者名:兼さんの耳飾り | 作者ホームページ:http://yuzunoki
作成日時:2023年6月2日 20時