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大きくなったな ページ45

長谷部side
明石「ま、長谷部はんに話したくないなら自分でもええですけど」
姫国「え」
長谷部「いいや。俺に話せ。俺だって、お前の力になりたいんだ」
はっとしたように目を見開く姫国
姫国「うん・・・」
遠くから、「国行ー」と、明石を呼ぶ声がする
明石「はいはい。今行くから待っときー。ほな、自分はこれで」
姫国「あ、はい」
声のした方に歩いていく明石
姫国「僕さ、総司さんの刀になってから、新撰組のお兄ちゃんみたいな、そんな存在だったんだ」
ぽつりぽつりと語り出す姫国
姫国「まだ付喪神として未熟な清光さんたちを僕が守らなきゃって思ってて。いつの間にか、弱音を吐くことが出来なくなっちゃってた。池田屋に行くことになったあの日。総司さんが千ヶ駄谷に残って長曽祢さんたちと別れたあの日。本当は、行きたくない。行かないでって思ってた」
長谷部「あぁ」
目に涙を浮かべ始める姫国
姫国「僕、もう、大切な人を失いたくなかったんだ。宗三さんや不動、薬研を失ったみたいに、あんな悲しい思い、したくなかったから。でも、僕がそんなこと言っちゃ、皆を不安にさせると思って、言わなかったんだ」
この子は、どれだけ辛い思いをしてきたのだろう
いきなり質に入れられ、山賊に盗まれ、また新しい主が出来たと思えば、また質に入れられ、新しい主は目の前で亡くなった
それでも、弱音ひとつ、泣き言ひとつも言わなかったのだろう
姫国を抱きしめる
昔より少し大きくなったんだと、今気づいた
自分の知らない所で成長していたのだ
昔は腹の辺りにあった頭が、肩の辺りにきている
長谷部「大きくなったな・・・」
これだけ大きくなれば、あまり頼りにされなくなるのもわかる
姫国「兄さん」
長谷部「ん?」
姫国「何か辛いことがあったら、話してもいいの?」
長谷部「あぁ勿論だ。俺は、兄さんは、何があっても、お前の味方だ」
姫国「ありがとう。これからは、ちゃんと話に行く」
長谷部「是非そうしてくれ。俺の前では、お兄ちゃんでいなくていい。俺は、お前の兄さんだからな」
俺の前では、昔の、幼いままの姫国でいい

また今度→←話してくれ



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作者名:兼さんの耳飾り | 作者ホームページ:http://yuzunoki  
作成日時:2023年6月2日 20時

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