四 ページ41
昔の春告鳥side
総司「手放すしか、ないのかな」
そんな!
安定「・・・」
総司「げほっ。どうしよう・・・」
土方「おいコラ総司!休めって言っただろ!」
総司「でも、どうしても諦められなくて・・・。げほっげほっ」
土方「そいつは、戦って、お前を守り抜いた末に折れたんだ。誇りに思え」
総司「・・・」
土方「・・・しっかり休めよ」
ぽんっと総司さんの肩を叩く土方さん
総司「・・・・・・ごめん、清光」
その日の夜、総司さんは清光さんを手放した
それから暫くして・・・
総司「すみません。僕は、ここに残ります。すぐに、追いかけますので。げほっ」
土方「・・・」
近藤「あぁ。待っているぞ」
総司さんは行軍についていけず、千駄ヶ谷に残った
和泉守「春、安定・・・」
春告鳥「ごめんね兼さん。総司さんがここに残る以上、僕たちもここに残るしかないんだ」
安定「皆も、気を付けてね」
堀川「うん。行こう、兼さん」
春告鳥「大丈夫だよ。兼さん。また会えるから。総司さんも言ってたでしょう。すぐに追いかけるって。だから、きっとすぐに会えますよ」
和泉守「絶対だからな」
長曽祢「必ず、また会おう」
春告鳥「はい。皆さんも、どうか元気で」
長くこの世にあればあるほど、別れを繰り返す
安定「ねぇ、春」
春告鳥「はい」
安定「初めてあった日の事、覚えてる?」
春告鳥「勿論ですよ。あの時は皆さん、まだ小さかったですよね」
安定「あの頃さ、本気であの日常が続くんだって信じてた」
春告鳥「皆、信じて疑わない目をしてました。僕は、どうせ長くは続かない。きっとこの日常もすぐ終わってしまうんだって思ってました。・・・本当はずっと、続いてほしいって思ってたのに」
安定「春は大人だね。僕は耐えられないよ。こんな、悲しい別れ・・・」
春告鳥「少し、年上っぽいこと言っちゃいますけど、長くこの世にあればあるほど、別れを繰り返します。その別れが、新しい出会いになったりします」
織田や黒田の皆、明石さんが頭を過る
春告鳥「僕たちは人より長くこの世にあります。別れを経験しない人はいませんし、別れに慣れる人もきっといませんよ」
そっと、うずくまっている安定さんの頭を撫でる
悲しいとき、僕がよく兄さんにしてもらってた
安定「・・・」
僕はただ、安定さんの側に寄り添うことしか出来なかった
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作者名:兼さんの耳飾り | 作者ホームページ:http://yuzunoki
作成日時:2023年6月2日 20時