きみを見つけた日 ページ37
総司side
清光「総司！」
総司「ごめん、お待たせ」
清光「ううん。こっちだよ」
安定「えっ・・・」
ははっ。驚いてる
でもごめんね、安定
また後で話そう
清光「主、連れてきたよ」
総馬「おう。ありがとな清光。長谷部も、一旦出ててくれ」
長谷部「わかりました。どうか、姫国をお願いします」
二人が部屋を出ていく
総司「良いお兄ちゃんだね。・・・さて、少し昔の話をしよう。ね、春告鳥」
返事はない
ただ、苦しそうな荒い息が聞こえるだけだ
総司「そうだなぁ。あ、僕がきみを見つけた日の話なんてどう？」
春告鳥の頭を撫でる
こうやって、彼と話すことができるのも、僕がまたこの世に生まれたからだし、春告鳥たちがこの世に来てしまったからだ
総司「あの日は、暖かい春の日だったね」
今でも鮮明に覚えてるよ
だってきみは、あの刀屋の中で一際美しく輝いていたんだから
昔の総司side
うーん。新しい脇差が欲しい・・・
この間の戦闘で大分ぼろぼろになって泣く泣く手放したんだよなぁ
取り敢えず、いつもの店へ足を運んだ
総司「親父さーん。何か良い刀ない？」
店主「またお前さんかい。お前さんは癖の強い剣士だからなぁ。そうそうお前さんに合う刀なんてないよ」
総司「いつもお世話になってます。お陰様で、清光や安定はこの通り、無事ですよ」
この日は安定を携えていた
店主「そら良かった」
総司「うん？親父さん、この刀は？」
店主「あぁ。この間ここに入ってきたんだよ。刃こぼれ直したら売りさばいてくれって。もう必要ないんだと」
総司「ふーん。ねぇ、抜いてみても良い？」
店主「おう」
スッとその刀を抜く
総司「わぁ・・・」
刃紋がとても綺麗だ
店主「綺麗だろ。そいつぁ、相州伝の刀工が打った刀だ。よく特色が出てる」
総司「誰が打ったんだろう・・・」
店主「さぁ？元は刀工の名が刻まれてた様だが、消えちまったようだ」
総司「親父さん！この刀、僕に売って！」
店主「お前さんがそう言うなら、相性が合いそうだな。良いぜ、持ってけ。特別だ、割り引いてやる」
総司「タダじゃないんだね」
店主「たりめぇだ。俺はこれで食っていってるんでね」
総司「ははっ。それじゃ払いますよ」
総司side
総司「そんなこんなで、きみは僕の愛刀になった」
少し、春告鳥の苦しそうな表情が和らいできた気がする
総司「起きて、春告鳥。・・・忘れられたままじゃ、悲しいよ。きみだって、そうだろ？」
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作者名：兼さんの耳飾り | 作者ホームページ：http://yuzunoki
作成日時：2023年6月2日 20時
