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前を向こう ページ14

姫国side
ここに来て一週間がたった
薬研「姫国ー。お前今日畑当番だぞ」
姫国「え、本当?急がないと」
急いで畑に行くとそこには加州がいた


清光side
関ヶ原に出陣したとき、春は「大丈夫ですよ、清光さん。僕は、僕ですから」と言った
何が「僕は、僕ですから」だ
結局春は春じゃなくなったじゃん
あの時、やっぱり言っておけば良かった
「記憶が戻っても、それは俺の知る春に変わりないって」って
今更後悔するなんて、馬鹿だよな。俺
姫国「ごめん遅れた!」
清光「良いよ。俺も丁度ついたとこだったし」
姫国「良かったぁ」
清光「畑当番は二回目?」
姫国「うん。前に鶴丸さんとやったよ」
清光「そっか」
姫国「さっき燭台切さんに夕飯に使うトマトを収穫してきてほしいって言われた」
清光「じゃあ沢山収穫して帰ろっか」
姫国「うん」
春なのに、春じゃない
春の姿をしてるのに、性格もほとんど変わらないのに
春じゃない


青江「二振りとも、昼休憩にしないかい?」
日が高く上ってきた頃、青江が声をかけにきた
姫国「もうそんな時間?」
青江「ああ。昼ごはんは饂飩だよ」
姫国「やった。ハッ」
清光「?」
姫国「め、麺は・・・」
青江「フッ。固めだ」
ガックリと膝から崩れ落ちる春
青江が少し意地悪い笑みを浮かべているように見えるのは気のせいかな?
姫国「饂飩は柔らかくてなんぼでしょーが!固いのなんて饂飩じゃない!」
青江「残念だけど僕には柔らかい饂飩の良さがわからなくてね」
姫国「ぐぬぬ・・・」
清光「えーと・・・?」
姫国「初めてここの饂飩を食べたとき、麺の固さにビックリして。福岡じゃ柔らかいのが主流だったから」
清光「成る程ね」
青江「饂飩のことに黒田組はうるさいんだよ」
姫国「悪かったですね〜うるさくて」

姫国「加州は麺が固いのと柔らかいの、どっちが好き?」
食堂に移動しながら聞かれた
清光「うーん。ここでは固いやつくらいしか出てこないからなぁ」
姫国「柔らかいの食べたことないんだ」
清光「そう」
姫国「じゃあ今度作ってあげるよ。新撰組の皆も誘ってきな。ご馳走してあげる」
清光「ありがと」
いつまでもウジウジしてらんないよね
割りきらないと
今の春は姫国。春告鳥じゃない
ちゃんと前を向こう

饂飩→←六百年越しの仲直り



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作者名:兼さんの耳飾り | 作者ホームページ:http://yuzunoki  
作成日時:2023年6月2日 20時

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