不安 ページ1
清光side
春告鳥「いや、違う。こういった少数隊が地道に送られてくる。体力を消耗させるために。奴等を撒いた方がいい。・・・だって僕ならそうするから」
あれが、春？
凄く冷たい目をしてた
博多「姫国しゃんが帰ってきたね。ゾクゾクすったい」
長谷部「この出陣、勝った」
二振りの言葉を聞いてわかった
あれは"春"じゃない
"姫国"だ・・・
俺さ、嬉しかったんだよ
春が顕現してくれて
もし、姫国として顕現していたら、俺たちのこと忘れてたかもしれないから
まぁ薬研が顕現するまで春が姫国っていう刀だったってことは知らなかったけど
長谷部が来たら、記憶が戻って織田の刀たちと仲良くするんじゃないかって不安だった
新撰組の刀がいなかったわけじゃない
でも、堀川には山姥切がいる
俺は一人だ
兄弟なんていない
だから、春の記憶が戻ったら俺、一人になっちゃうんじゃないかって不安だった
けどそんなことなかったね
不安になってたのが馬鹿馬鹿しいくらい
安定が来てからそんな不安にはなんなかったし、むしろ相棒が来てくれて嬉しかった
今、別の不安に襲われてる
春が春じゃなくなっちゃうんじゃないかって
長谷部たちは昔の春・・・姫国を知ってるから不安にはならないんだろうな
俺は知らないんだよ
姫国のこと、何も知らない
だから怖い
春告鳥「大丈夫ですよ、清光さん。僕は、僕ですから」
敵を撒くために走りながら春はそう言う
春は、春
そう、だよね
じゃあ約束してよ
この出陣が無事に終わって、もし、記憶が戻っても、それは俺の知ってる春に変わりないって
それを俺は言えなかった
この後、俺は言えなかったことを後悔することになる
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作者名：兼さんの耳飾り | 作者ホームページ：http://yuzunoki
作成日時：2023年6月2日 20時
