待望少女、始動：(4) ページ6
.
何をするでもなく
二人が彼の様子を見ていると予鈴が鳴った。
(えっ、どうしよう...！
もうすぐ授業が始まっちゃう...！)
見るからに焦り始めたノブユキは
当てずっぽうに階段を降りようとする。
｢其方ではないよ｣
｢えっ？｣
そんな彼にAが声を掛けた。
彼女はノブユキを一瞥すると
｢美術室は上だ｣と階段の上を指差す。
自分の進路とは真逆の位置にある事を教えられ、
ノブユキは体を硬直させると同時に
顔に熱が集まり、
次第に茹で蛸のように真っ赤になった。
｢...大丈夫かい？｣
不思議に思ったAが声を掛けると
羞恥心から頭が真っ白になっていた
ノブユキはハッと我に返る。
そして親切に教えてくれた彼女に対し、
しどろもどろになり乍お礼を言うと
Aの言う通り階段を上っていった。
｢貶すつもりは無いのですが
貴女にしては珍しい事をしますね〜｣
｢少なくとも迷っている人に
道を教えてあげる程の常識はあるよ。
勝手に人の私物を見ようとした
常識知らずの誰かさんよりはね｣
Aがジッとシロウを睨みつけると
大袈裟に肩を跳ねさせた。
先程のことを根に持っているのだろう。
Aは自分の許可無しに
私物に触れられることが
大層気に食わなかった様だ。
｢うぐゥ、
痛いところ突いてきますね...｣
｢私は事実を述べた迄だよ？｣
｢ぐうの音も出ませんよ〜...
あ、ボクちょっと御手洗に行ってくるので
先行っててください〜｣
シロウはヒラヒラと手を振りながら
逃げる様に小走りで駆けていく。
(逃げた...)
Aは心中で呆れ乍
その背を打ち見ると階段を上った。
が然し、上の階に上ると
先ほど見た顔と対面する。
ノブユキが俯き乍、
壁に寄りかかっていたのだ。
Aの存在に気付いたノブユキは
心做しかさっきよりも赤くした顔で
ボソボソと小さく何かを呟く。
｢......私に付いて来給え｣
｢...すみません｣
上の階に上がったものの
教室の場所が分からなかった様だ。
Aは後ろからトコトコと後を着いてくる
ノブユキを気にしつつ教室へ向かった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蓮花 - 夢主タイプです！更新頑張ってください！ (2020年12月17日 7時) (
レス) id: ed23f405ff (このIDを非表示/違反報告)
焦げマシュ(プロフ) - 夢主の設定めっちゃ好きです！！これからも無理せず更新頑張ってくださいね！応援してます (2020年5月23日 23時) (レス) id: 25bc55c09d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：楽空 | 作成日時：2019年10月21日 17時
