ep363 ページ16
「絶景だねェ。まさかたった一人の
着陸した航空艇から次々と降りてくる天人達を眺めながら副団長が言う。
そんな彼を他所に、私は早くも3、4、5……と増えていく敵の地上部隊にうんざりしながら、目下を見下ろしていた。
「なんで俺についてくる。逃げるなら俺が暴れてる今しかねぇぞ」
そう尋ねる星海坊主に
「どうせ死ぬなら夜兎の生ける伝説と心中するのも悪くねぇかとな」
冗談なのか本気なのか……イマイチ掴めないいつもの口調で言う副団長。
「失礼ですね。私が策を授けてるのにそんな弱気じゃ困るんですが」
縁起でもないことを漏らす彼にそう言えば、団長と再会するために星海坊主の力が必要なのだと言う。
そこに異論はない。私も星海坊主と第七師団残党の力を借りて敵の勢力を削いでおきたいし、早々に銀時達と合流したいというのが本音だ。
勿論、敵だってそれをわかっていて全力で阻もうとしてくるだろうけれど。
つまり私達はそれを全力で迎え撃たねなければならない。皆、目的は別だがそのために此処で踏ん張らなくちゃいけないという状況は一緒なのだ。
「……敵の情報を教えろ」
星海坊主のその問いで場の空気が瞬時に締まるのを感じる。
尋ねられた副団長はこの期に及んで躊躇するわけもなく、内部情報を明らかにし始めた。
「第九師団と第十師団は頭数だけで大したことねぇ。問題は奴等をまとめる第一師団の獅嶺だ。頭もキレるし腕も立つ」
あと……と言って彼の続けた言葉に私は古傷の要らぬ痛みを感じる羽目になる。
「あの船は三凶星だな」
「三凶星?」と疑問符を浮かべる人間の中で私だけあの悪夢のような出来事を思い返していた。
「組織きっての殺し屋、猩覚。機巧導師、范堺。そして人の心を読む目を持つ剣士——……」
「「馬董」」
私の声と重なったことに驚いたらしい副団長は
「なんだ参謀、知り合いか?」と私に尋ねる。
知り合い?いや違う。あちらは私のことなど毛ほども知らないだろう。だけど私は覚えているし忘れない。
「剣士の腕に執着してる気色悪い奴」
「おーおーおー滅茶苦茶に言うなぁ」
そりゃそうだ。
そいつは私の仲間——坂本辰馬から刀を奪い、一生それを握れなくした……因縁の相手なのだから。
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ギラッフェ(プロフ) - 陽-hisa-さん» いつも楽しみにしてくださってありがとうございます。何よりもの励みになっています!今後とも楽しんでいただけると嬉しいです(^^) (9月2日 0時) (レス) id: 7a3023c2c7 (このIDを非表示/違反報告)
陽-hisa- - お久しぶりです。攘夷とこんなに上手く絡ませている作品、やはり私的にはこの作品が一番です。一番好きです。これからも楽しみにしています。応援しています。 (8月31日 19時) (レス) id: cd440b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - るぅさん» いつもありがとうございます!ベタ褒めしていただいて嬉しい限りです笑 今後ともよろしくお願いします! (8月22日 9時) (レス) id: 1bbdb8d99e (このIDを非表示/違反報告)
るぅ - いつも読ませて頂いてます!大体どの作品も恋愛系の作品が多いのですが、占ツクで面白い作品に出会えると思ってなかったです笑コメント見させて頂きましたが、オチなしの結末を考えているとの事で個人的にホッとしました笑これからも応援してます! (8月21日 21時) (レス) @page48 id: 0469468a88 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひーさん» コメントありがとうございます!読み返してくださるのとても嬉しいです!今後ともよろしくお願いします! (8月10日 9時) (レス) id: da4440489d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2022年1月26日 0時