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ep366 ページ19

—no side—



「出てこないなら隠れ蓑ごと燃やせばいいだなんて、私達ネズミか何かと思われてるんですかね?」


Aはさっきまで身を潜めていた森が轟々と燃え上がるのを見ながらそう言った。

痺れを切らした敵艦隊はさっきから手当たり次第に砲撃を落としにきてる。


「参謀、どうする」

「この先右に曲がると道幅が広くなります。一旦そこで迎え撃って敵数減らしましょう」


星海坊主の問いに間髪入れず答える参謀。
既に頭の中には烙陽の地形が全て叩き込まれていた。


「何機落とせますか?」

空を一瞥して尋ねたAに対し、星海坊主は目を細めて「2機だな」と答える。




「じゃあ3機で」


何のこともないようにかさ増しするA。
抗議の色が滲む星海坊主の視線もあくまで素知らぬふり。満面の笑みで打ち返した。


「頼りにしてます、宇宙最強」


悪びれもしない参謀の様子に、星海坊主はあの無茶ばかりする銀髪頭を思い出す。
——なるほど。この参謀といればそりゃあぁなる訳だ。


曲がり角に差し掛かった時、Aは背後の第七師団に言う。


「そろそろ敵の地上部隊もこっちに辿り着く頃なのでそっちは任せてもいいですか」

「おうよ、伝説の背中は俺らが守ってやろうじゃねえの」


角を曲がり切り、道の中腹で身を翻す一同。



「さぁ、反撃開始です」


Aの言葉と同時に星海坊主の投げた大岩が敵艦隊にめり込む。

爆風と焔で肌の表面が熱くなるのを感じながら阿伏兎がふと問う。


「地上部隊はどれくらい来そうかねェ?」

「さっき上陸してた部隊の少なくとも4分の3はこっちに向かってるんじゃないですかね」


それを聞くとげんなりした様子で肩を落とした。

それを横目にAは灰塵を払いながら鬼兵隊を確認する。ここまで意識のない高杉を連れて坂を登ってきた疲労はかなりのものだった。

肩で息をする彼等に駆け寄って言う。


「敵の地上部隊がここへ来たら第七師団が引きつける。その隙に晋助を連れてこのまま坂上がって逃げ切って」

「しかし敵を迎え撃つには人手が……!」


渋る鬼兵隊の面々と未だ眠る高杉を見つめるとAは静かに笑う。


「君達の総督でしょ。自分達の手で守りきりなさい」


その表情は彼等が攘夷戦争の時に見たあの顔だった。

たとえ戦場には居なくても、隣で刀を振るっているわけではなくても……
圧倒的劣勢な戦況の中、自分達に策を授け、背を支えてくれたあの時の参謀の顔だった。



 

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ギラッフェ(プロフ) - 陽-hisa-さん» いつも楽しみにしてくださってありがとうございます。何よりもの励みになっています!今後とも楽しんでいただけると嬉しいです(^^) (9月2日 0時) (レス) id: 7a3023c2c7 (このIDを非表示/違反報告)
陽-hisa- - お久しぶりです。攘夷とこんなに上手く絡ませている作品、やはり私的にはこの作品が一番です。一番好きです。これからも楽しみにしています。応援しています。 (8月31日 19時) (レス) id: cd440b7134 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - るぅさん» いつもありがとうございます!ベタ褒めしていただいて嬉しい限りです笑 今後ともよろしくお願いします! (8月22日 9時) (レス) id: 1bbdb8d99e (このIDを非表示/違反報告)
るぅ - いつも読ませて頂いてます!大体どの作品も恋愛系の作品が多いのですが、占ツクで面白い作品に出会えると思ってなかったです笑コメント見させて頂きましたが、オチなしの結末を考えているとの事で個人的にホッとしました笑これからも応援してます! (8月21日 21時) (レス) @page48 id: 0469468a88 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひーさん» コメントありがとうございます!読み返してくださるのとても嬉しいです!今後ともよろしくお願いします! (8月10日 9時) (レス) id: da4440489d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2022年1月26日 0時

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