ep334 ページ37
駄目だ、そんなふうに戦ったら……
だって私は知ってる。
こんな戦い方をした結末がどうなるか。
死ななくて済んだ筈の命が失われて、下手したらここにいる誰一人として生きて島から出られないかもしれない。
開き切った瞳孔で敵をなぎ倒す副長や沖田君を見れば収まっていたはずの震えがまたぶり返す。
心配そうな眼でこちらを見るヅラと眼があった。そんな顔させたくて巻き込んだわけじゃないのに…
どうしよう……
いや、違う駄目だ。震えてる暇なんてない。
どうする……それを考えろ。
唇を強く噛み締めたその時————
ドゴォォォオン——……！
奈落の大群に目掛けて、激しい砲撃が落ちた。
見上げれば松平長官の船。
そして同時に掠れた佐々木局長の声がした。
「近藤さん……貴方の言う通り、メールは届いていたらしい」
その手には鬱蒼とした森の中でも煌々と暗闇を照らす携帯の液晶。
そうだ……。
私達はここにいる人間だけで戦ってるわけじゃない。ここを抜ければ退却のために踏ん張ってくれてる仲間がいる。空には松平長官がいる。
佐々木局長が無事となれば尚更、絶望するにはまだ早い。
私はインカムを繋いだ。
「待機中の見廻組！聞こえる！？」
《橘参謀！》
「取り敢えずそっちの状況教えて。あと松平長官の部隊どんくらいもつ？」
《こちらは船を守るので精一杯です。空の部隊は島の軽傷者をかき集めた部隊なので……》
長くはもたないか……
しかし既に奈落からの砲撃を受け続けている見廻組の船よりかは頑丈なはずだ。
そっちに乗れると賭けるしかない。正直それは私達次第だが。
「分かった。君達は先に離陸して」
《しかし！》
食い下がる隊士に言う
「君達の局長と副長を信じなさい。必ず戻るから」
インカムの先は何も言わなかったけれどしばらくして船の離陸音が聞こえてきた。
一応指示は聞いてくれたらしい、と安心したその時、
《橘参謀……我々は局長と副長だけでなく、貴女のことも信じていますから。……帰還、お待ちしてます》
それだけ言って隊士が通話を切った。
しばらく何を言われたか分からなかったが、徐々に頭がそれを理解し始める。
……そっか……。
頑張らないわけにはいかないな。
そのためには……まともにやり合わないことだ。
佐々木局長を庇いながら朧を相手取る副長に私は叫んだ。
「副長！とにかくここから脱出します！退路を！」
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ギラッフェ(プロフ) - ろこもこさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて感謝しかありません。前作も必ず完結させるつもりですので長い目で見ていてくださると嬉しいです。これからもよろしくお願いします！ (2022年1月18日 23時) (
レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
ろこもこ(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます！前作の最終兵器に宜しく からずっとファンです…！ギラッフェさんの小説は人物や世界観が作り込まれ、何より愛が感じられて大好きです!!これからも応援しています！ (2022年1月18日 15時) (レス) id: c1accee4d9 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - むーさん» そう言っていただけて嬉しいです！ゆるゆる更新してますがどうぞこれからも宜しくおねがいします (2022年1月11日 19時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
むー - いつもギラッフェさんの語彙力が凄すぎて本当に尊敬します…これからも頑張ってください！ (2022年1月10日 21時) (レス) id: c41de03eef (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ゆりりんさん» コメントありがとうございます！そんなふうに想ってもらっていて感謝しかありません。これからもよろしくお願いします！ (2021年11月3日 10時) (レス) id: 26330a8285 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ギラッフェ
| 作成日時：2021年4月22日 16時
