ep329 ページ32
動揺する隊士達に副長は「マジで分かんねぇのかよ……」と呆れたように溜息を吐く。
「コイツの反吐が出るくらい細けぇ作戦を思い出せ。
そもそもコイツが本当に近藤さんや真選組を消すつもりなら俺達ぁ今頃とっくにあの世だろぉが」
その言葉でハッとしたような表情をする面々。
「俺達の作戦が上手くいってこの島に上陸出来たのも近藤さんと落ち合えたのも、全部コイツが俺達の行動を先読みして俺達がつけ入る隙を作ったからだ」
その隙に気づいて利用し、ここまで辿り着いてくれるかは全て副長達次第だったわけだけど。
「にしても副長、眼合った瞬間もう気づいてましたよね?」
近藤局長達が一網打尽にされる寸前、飛び込んできた副長は私を見るなり不敵に笑ってみせたのだ。
あ、バレた…と思ったけれど気を利かせた副長が敵を装ってくれたお陰であの場での混乱は避けられた。
「そりゃあ見廻組と奈落相手にしちゃあ上手く行きすぎてると思ったらオメェがいたからな」
「……なんか勝手に種明かしされた手品師みたいで微妙」
なんとなく居心地の悪さを抱えて、そんな呟きが漏れる。
「毎度毎度、勝手なことしやがって」
そんな私を見てケッ…と吐き捨てる副長だが、そう、この感じが懐かしいしどこか安心する。
「すみませんね、これが仕事なんですよ」
笑った私はエリザベスに背負われたヅラに近づいて声をかけた。
「どう、止血はできてる?」
「何とかな。誰かさんによると俺は耄碌しているらしいが」
ジトッとした視線を送りつけてくるヅラに「ごめんってば」と苦笑いする。
「鎮痛剤いる?いや、痛い方が眼覚めていいかな?」
「鬼畜だぞ」
そう言ってヅラは私が差し出した鎮痛剤を飲んだ。
それを確認してから私は副長達を振り返って言う。
「情報を共有しましょう」
そして松平長官が先に隊士を連れて離脱したことや、真選組は既に狼煙をあげて離脱態勢に入っていることを知る。
見廻組も同じく離脱を最優先に動いていることを伝えるが
「こちとら非常にクソ喰らえではありますが、予想以上に奈落の勘が鋭く、私達の動きが読まれていたようです」
既にあちらは援軍を投下済み。信女ちゃんが重傷を負ったのも十中八九それのせいだろう。
「状況はかなり厳しいですが、そこんとこ覚悟できてますか?」
私はじっと副長達を見つめてそう問うた。
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ギラッフェ(プロフ) - ろこもこさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて感謝しかありません。前作も必ず完結させるつもりですので長い目で見ていてくださると嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2022年1月18日 23時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
ろこもこ(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます!前作の最終兵器に宜しく からずっとファンです…!ギラッフェさんの小説は人物や世界観が作り込まれ、何より愛が感じられて大好きです!!これからも応援しています! (2022年1月18日 15時) (レス) id: c1accee4d9 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - むーさん» そう言っていただけて嬉しいです!ゆるゆる更新してますがどうぞこれからも宜しくおねがいします (2022年1月11日 19時) (レス) id: 3534028906 (このIDを非表示/違反報告)
むー - いつもギラッフェさんの語彙力が凄すぎて本当に尊敬します…これからも頑張ってください! (2022年1月10日 21時) (レス) id: c41de03eef (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ゆりりんさん» コメントありがとうございます!そんなふうに想ってもらっていて感謝しかありません。これからもよろしくお願いします! (2021年11月3日 10時) (レス) id: 26330a8285 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2021年4月22日 16時