ep297 ページ50
なら、真選組に話すか……?
いや駄目だ。彼等に話せば長官を止めるどころか一緒に仇討ちしかねない。
長官も真選組も一橋に取っては邪魔で仕方がない前将軍の忘れ形見。
それを一掃できる好機なんて与えてはいけない。今の一橋と天導衆を相手取ったところで勝てる算段なんて無い。下手したら負ける。
でも実際、長官は仇討ちに真選組を巻き込みはしないだろう。長官一人なら止められるか?
……いや、それもノーだ。
仮に今回はそれで止められてももうこの国の舵は一橋が取るのだから仇討ちの火種なんていくらでもあるし、あちらも罠を仕掛けてくる可能性がある。
なら銀時を頼るか?
……馬鹿言え。
あんな怪我人動員して何させるってんだ。それに展開は変わらない。仇討ちに首突っ込むのが目に見えてる。
……駄目だ。まったく道が開けない。まさに袋小路。
「……くっそ……」
思わず呟いたその時。
「おや、こんな所に野良猫がいるじゃありませんか」
聞き覚えのある声がして顔をあげた。
それと同時に真っ白な隊服が視界に広がる。
「随分と暇そうですね。勿論私は勤務中ですよ。エリートですから」
こちらを見下すように顎を上げた佐々木異三郎の姿で、止まりかけていた思考回路が回り出す。
かつて彼は一橋とは手を組んでいないと言った。今ならわかる。この男が手を組んでいたのは晋助達だ。
なのに何故今は一橋の傘下にいる?
狸ジジイの件では一橋に病院送りにされたにも関わらず。
「貴方、結局どっち側なんですか?」
いぶかしむように尋ねた私の問いは何のことやらといとも簡単にはぐらかされた。
何か企んでいる……
ここに来て私を見つけたのは偶然か?……いや、きっと違う。
鋭く睨みつけても肝心の相手はどこ吹く風だ。
「ところで貴女、今携帯持ってますか?」
何を藪から棒に、と思って携帯を取り出す。すると同時に手の中で携帯が震えた。
まさかと確認したメールには本文は無く、件名の欄に短く
『参謀依頼』
とだけ綴られていた。
目を見開いてその送り手――佐々木異三郎を見上げる。
あまりに悪手。どう転ぶか見当もつかない。
でも袋小路の今、
あの時、一橋を矮小な法螺吹きと言って晋助を選んだこの男を信じるしかない。
晋助が手を組むと決めたこの男を信じるしかない。
そう決めた晋助を信じるしかない。
何故かさっきの長官の言葉が蘇った。
《それでもやるしかねぇんだよ》
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ギラッフェ(プロフ) - ゆうゆさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さってて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!テストに間に合ってよかったです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆ - 更新凄く楽しみに待ってました!応援してます、これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 1時) (レス) id: 90e018deaa (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - めちゃめちゃ楽しみにしてました!これからの展開が楽しみですこれで明日のテスト頑張れます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: a90e951796 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - じゅうぞうさん» コメントありがとうございます!なかなか更新できずすみませんでした。応援ありがとうございます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年8月29日 0時