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ep294 ページ47

「今までお世話になりました」


ゆっくりと真選組の皆に頭を下げる。
再び前を見据えて深呼吸すれば、朝の澄んだ空気が肺に入ってきた。


「いや世話になったのはこっちの方だ。今まで本当にありがとう」


そう言った局長と握手を交わす。


「そういえば、この後の勤め先はもう決まってるのかい?」

「えぇ、これでも売れっ子参謀なので」

「そうだったそうだった。じゃあまた宇宙に?」

「……んー、それは秘匿義務があるので答えられませんね」


そうか、と言って少し眉尻を下げた局長に


「まぁ、お互いこの仕事してる限りまた会うこともありますよ」


と笑いかければ、「そうだな」と幾分か明るい返答が返ってきた。



「では、名残惜しくなる前に失礼しますね」



最後にもう一度だけ頭を下げてその場を去る。傍らにはスーツケース1つだけ。初めてここに来た時と同じだ。


屯所の先の角を曲がって彼等から私は見えなくなる。
なのに聞こえてくるのは私を呼ぶ野太い声に、非常に男らしい嗚咽の数々。

昨晩の祝賀会からついさっきまで、さんざん宥めたはずなのにコレだ……。しっかりしてくれ江戸の警察。


ははっと笑って、目に止まったちょっと先の茶屋に腰掛けた。




ふぅ…と一息つき、つい先刻の局長とのやりとりを思い出す。




―― そういえば、この後の勤め先はもう決まってるのかい?





「それが決まってないんだよなぁー……」


ぼやきつつ茶を一口。


まぁ、決まっていないと言うより決めてないのだ。
年中依頼のメールは絶えないし、今だってきっと現在進行形でそのメールは溜まりまくってる。


だけど、そういう気になれないのだ。銀時と晋助のあの闘いも脳裏によぎるし……。

二度と同じ雇い主には仕えないとは言いつつも、やはり将軍様の再起には協力したいというのも本音。
今この星を去ればまた後味悪いのが続くってことはつくづく分かってるし……



というか、ただ単に休暇を取りたいという気持ちもある。



「うん、当分は自主休暇にしよう」


そう決めて私は茶を飲み干し、宿探しのために歩き出した。




 

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ギラッフェ(プロフ) - ゆうゆさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さってて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!テストに間に合ってよかったです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆ - 更新凄く楽しみに待ってました!応援してます、これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 1時) (レス) id: 90e018deaa (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - めちゃめちゃ楽しみにしてました!これからの展開が楽しみですこれで明日のテスト頑張れます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: a90e951796 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - じゅうぞうさん» コメントありがとうございます!なかなか更新できずすみませんでした。応援ありがとうございます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年8月29日 0時

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