ep289 ページ42
その時、ちょうどインカムから副長の連絡が入る。
《橘、こっちも片付いた。ご苦労だったな》
労りの言葉に、私も「お疲れ様でした」と返そうとした矢先――……
《てめぇが怪我人まで動員する必要があったかはさておき……》
インカム越しでも伝わる渋い声色で言われるもんだから、つい出かかった台詞も飲み込む羽目になってしまった。
「やだなぁ、そんな言い方しないでくださいよ。人員は多いに越したことないですよ。特に今回みたいな場合は」
《愚痴ぐらい言わせろ。こちとら総悟の八つ当たりで頭燃やされてアフロなんだよ》
「あらそれはそれは……」
と戯ければ聞こえてくるのは深い深い溜息。
その溜息を聞きながら私は思う。
インカムが全開通だったということは勿論、局長と副長にも私が元攘夷の人間であることや、晋助や銀時と同じ門下だったことも露見したということだ。
でもそれに関しては何も言わない副長。
《なぁ、おめぇ今回で将軍様の件は片付いてとっつぁんの参謀もお役御免だろ?》
「まぁ、契約満了ですからね」
何を当たり前のことを聞いてくるんだ?と不思議に思っていれば、インカムの向こう側はやけに静かになってしまう。
「もしもしー、副長?」
……インカムがダメになったか?
勘弁してくれ……かなりお高いんだから
と、考えながら唇を尖らせたその時――
《もう黙っていなくなんなよ》
想像すらしていなかった台詞に固まった。
「……はい?」
思わず聞き返せば
《だーかーらー前みてぇに素知らぬ顔していなくなるなつってんだよ!》
キレられる始末。
解せない。
《だいたいてめぇは――!》
それを枕詞に、こっから絶対長くなることを察知した私はインカムを外そうかと耳に手をやる。
だが、その瞬間ちょうどインカムの先がガサガサと騒がしくなって
《取り敢えずこのままサヨナラってのはよしましょうって話ですぜィ、Aさん》
いつの間にか会話の相手は沖田君に変わっていた。
「まぁ、今後の将軍様の動きについても長官と話し合わなくちゃいけないし、不意にいなくなるつもりは無いよ」
何より今回の処罰もまだ決まってないし……
……というのは変に話が拗れても嫌なので黙っておこう。
《そんじゃ、後で会いましょう》
最後にそれだけ言って早々に通信を切った沖田君。
インカムを外した私は長官の元へ戻って言った。
「ではこれからのことについて話しましょうか」
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ギラッフェ(プロフ) - ゆうゆさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さってて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!テストに間に合ってよかったです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆ - 更新凄く楽しみに待ってました!応援してます、これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 1時) (レス) id: 90e018deaa (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - めちゃめちゃ楽しみにしてました!これからの展開が楽しみですこれで明日のテスト頑張れます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: a90e951796 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - じゅうぞうさん» コメントありがとうございます!なかなか更新できずすみませんでした。応援ありがとうございます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年8月29日 0時