ep285 ページ38
「存外食えぬ男だったな。お前が用意したあの神輿も」
神輿――……一橋喜々か……。
「天導衆の対抗馬として押し上げてやったにも関わらず、将軍の座をくれてやると申したらあっさりお前達を賊と斬り捨てたぞ」
朧というその男の言葉で曖昧だった繋がりが明確になってくる。
そして同時に目を逸らしえない失敗も確信に変わる。
……言い逃れできない。
天導衆が介入してくる可能性なんて微塵も考えてなかった。
将軍派と攘夷派の二項対立でしか考えてなかった。
馬鹿だ、馬鹿としか言いようがない。
さっきの爆発音はおそらく天導衆の船が地上を狙ったもの。ここまで聞こえてくるってよっぽどだぞ。
将軍様の命が狙われてるかもしれない。局長達が危ないかもしれない。
松平長官の参謀として、何をすべきか……そんなの分かり切ってる。
すぐ将軍様と合流して天導衆から守り抜く――。
そう、答えはひとつだ。
わかってる。
わかってる……
でも……
でも今は――――
私は拳を握りしめて倒れた晋助へと一目散に駆けた。
そしてそれに反応して迫る天導衆を目の前に叫ぶ。
「銀時ッ!!!」
すると眼前で火花が散り、一瞬のうちに斬り伏せられた天導衆。
満身創痍なはずの銀時は、晋助を庇う私を背に、たった一人で敵に対峙しながら問うた。
「行き先は間違ってねぇか、参謀?」
その問いかけに私は晋助の手を強く握りしめて答える。
「間違ってない」
私は自分の護りたい者のために戦う――
そう決めた。
ここで晋助を置いていけば私は自分の中の魂を殺すことになる。
いつも参謀の職を笠に着て語ってたくせに、都合がいいのは百も承知だ。
だけど全蔵さん達を、局長達を……仲間を信じる。
信じさせてくれ……。
祈るようにぐっと目を瞑ってから開き、上着を割いて晋助の傷口を縛った。
「銀時、5分稼いで」
背後の銀時に言えば、静かに頷く。
「松陽の弟子達よ、お前達の剣はもう天には届かぬ。
お前達は折れたその剣を握りしめ、師を斬り、かつての友とさえ斬り合い……一体まだ何と戦おうとしている?」
その朧の問いに、銀時はゆっくりと息を吸い、答えた。
「敵ならここにいるさ……。今も昔も変わらねェ。
俺達はそれぞれの胸に掲げた侍になるために自分自身と戦ってきた」
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ギラッフェ(プロフ) - ゆうゆさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さってて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!テストに間に合ってよかったです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆ - 更新凄く楽しみに待ってました!応援してます、これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 1時) (レス) id: 90e018deaa (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - めちゃめちゃ楽しみにしてました!これからの展開が楽しみですこれで明日のテスト頑張れます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: a90e951796 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - じゅうぞうさん» コメントありがとうございます!なかなか更新できずすみませんでした。応援ありがとうございます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年8月29日 0時