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ep282 ページ35

ガキィン――――……!




「――で、行き着いた未来がここですか……」


摩利支天像の傍らで、血飛沫の絶えない銀時と晋助を眺めては呟いた。


私にとって大切な人であり、私の大切な人達にとっても大切な存在だった吉田松陽という人間。

彼を取り戻す為に使いたいと思ったこの眼も、その命は取りこぼした。


そのせいで、今も守りたかった筈の仲間が斬り合うのを眺めるこのザマ。



「残念だったな銀時……二百四十七勝二百四十六敗――。俺の……勝ちだ」


血飛沫と共に倒れた銀時。
そう笑う晋助も言い終えぬ間に地に倒れ込んだ。




「……ほーら」


この眼使ったっていいことなんて無かったでしょ、松陽。

空に向かって悪態ついたその時、晋助の自嘲じみた声が響いた。


「……先生……ハンパやってんなって俺を止めにでも来たのか……」


遠い目で虚空を見つめ、そう笑った晋助にはきっと松陽が見えてるんだろう。


でも――――




「もういねぇよ。先生なんて、どこにもいねェ……」


そう、あの頃とはもう何もかも違う。
松陽はいないし、私達も散り散り。


「俺達を止められる奴はもう俺達しかいねェんだよ」



それでも――……


いや、だからこそ。



「気に食わねェなら、曲げらんねェなら……

てめぇのゲンコツで止めるしかねェんだァァ!!」



私達はここで再会することを選んだのだろう。



「高杉……いつまでその潰れた左目で目蓋の裏を見てやがる。
てめぇがゲンコツ振るわなきゃいけなェ奴ぁ、今ここにいんだろ!!!」


そう叫んだ銀時の拳が届く一歩手前、晋助が銀時を殴りつけた。



「んなもん、目ぇつぶってても見えるぜ銀時」



そしてゆらりと身体を起こしながら言う。


「俺の閉じた左眼は……あの頃の憧憬も絆も志も、そして憎しみも……何一つ忘れちゃいねェ。一度たりとも見失っちゃいねェ」


知ってる。
銀時も晋助もヅラも、誰一人として「あの頃」から逃げなかった。

眼ぇつぶって逸らして、逃げ出したのは私だけだ。





「さぁ立てよ銀時。俺達の仇はここにいるぞ」



場違いにも、血塗れの2人が私にはどこか羨ましかった。




 

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ギラッフェ(プロフ) - ゆうゆさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さってて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!テストに間に合ってよかったです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆ - 更新凄く楽しみに待ってました!応援してます、これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 1時) (レス) id: 90e018deaa (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - めちゃめちゃ楽しみにしてました!これからの展開が楽しみですこれで明日のテスト頑張れます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: a90e951796 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - じゅうぞうさん» コメントありがとうございます!なかなか更新できずすみませんでした。応援ありがとうございます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年8月29日 0時

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