ep273 ページ26
次に気がついて目覚めた時、私は暖かい部屋で横になっていた。
その慣れない感覚に布団を抜け出した私は廊下の先から子供達の賑やかな声が聞こえて来ることに気付く。
あの少年の家だろうか……?
そう思って忍び足で廊下を進んでいたその時
「おや、もう起きたんですね」
突然背後から声が聞こえて私は飛び上がるようにして振り返った。
するとそこには柔和な笑みを浮かべる男。
――だれ……
訝しむように窺い見れば、その男の柔らかな瞳と視線が交差する。
その瞬間、私は思わず目を逸らして俯いた。だが男は特に気にしない様子で続ける。
「私は吉田松陽。ここで子供達に手習いを教えている者です」
私はただ黙ってそれを聞いていた。
「君の名前は?」
そう聞かれても固く口を閉ざしたままの私。
男はしばらくすると少し笑って言った。
「無理にとは言いませんよ。幸い、会話とは相手の名前を知らずとも成立するものですから」
そしてゆっくりと廊下を引き返して行く。
その背中をただ眺めていると「ついて来てください」と言って振り返る男。
言われた通りその後をついて行くと、辿り着いた先は温かい湯気が立ち込めた風呂場だった。
「着替えは後で置いておきますからゆっくり入ってくださいね」
男はそれだけ言い残すと去って行った。
そして1人風呂場に取り残された私は、自分の泥だらけの手足を見て仕方なく服を脱ぎ、湯船に浸かったのだった。
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ギラッフェ(プロフ) - ゆうゆさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さってて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!テストに間に合ってよかったです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆ - 更新凄く楽しみに待ってました!応援してます、これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 1時) (レス) id: 90e018deaa (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - めちゃめちゃ楽しみにしてました!これからの展開が楽しみですこれで明日のテスト頑張れます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: a90e951796 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - じゅうぞうさん» コメントありがとうございます!なかなか更新できずすみませんでした。応援ありがとうございます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年8月29日 0時