【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀 陸

ep271 ページ24

ガギィン――！



勢いよくぶつかり合った銀時と晋助。
2人の起こした旋風は私のフードを掻っ攫い、上着の裾を翻した。





一旦冷静になって周りを見渡せば、鬼兵隊と夜兎はそこそこ片付いていることに気づく。



そして姿の見えなくなった神楽ちゃんが気になって新八君に尋ねれば、あの春雨の団長と兄妹だと聞かされる。



なんだそれ、因縁だらけにも程がある。

これで晋助とあの神威とかいう夜兎が組んだのが偶然だって言うから余計笑ってしまう。



「運がいいんだか悪いんだか……」


そう呟いて私は摩利支天の彫像に腰掛けた。

眼の前では斬っては斬られ、刺しては刺されの銀時と晋助。



そう、これは2人がぶつかってこそ清算される過去だ。私はただそれを見守るしかない。


あの日の采配が招いた2人の歪み――。

それを私の手で直すどころか傍観しか出来ないのが歯痒くて仕方がない。

だが私ではないのだ。



晋助をここに至るまでの激情に駆り立てたのも、松陽が死んで尚、生き続ける意味になったのも――


あの日、采配を失敗した私ではなく


松陽に「ありがとう」と言われながらも首を斬った銀時だったのだ――――。



私は失敗を犯して尚、松陽を失った皆がそれでも前に進むための理由にはなり得なかった。


それが安堵することだろうが、悔やむべきことだろうが、苦しいことだろうが関係ない。それが事実なのだ。


あの日から今日まで、誰1人として私を責めてはくれなかった。





静かに唇を噛み締めながら眺めれば、2人の姿が何故か幼かった頃の姿に重なる。


あの頃となにも変わらない。2人はアホみたいなことで喧嘩を始めては松陽にゲンコツを食らう。

そして私はそれを眺める。




私は遠い昔のような記憶に想いを馳せながら、彼等に初めて出会ったあの日のことをふと思い返した。



　

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