【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀 陸

ep269 ページ22

―no side―


「なるほど晋助。確かに無駄な悪足掻きだ」


頭上から降り注ぐクナイの雨を難なく躱しながら、神威は高杉に言う。


「ケツにブチ込むとのたまわっていたのは俺達の眼を上に向けさせないため。そしてこのクナイの雨は――」


「ただの目眩しだ」



死体の影から高杉と神威を狙った全蔵。
だが、既にその手を読んでいた2人によって阻まれる。


「……てめぇらの小細工は見飽きたぜ」


嘲笑うように言った高杉にそれでも全蔵は笑った。


「目眩しなんかじゃねぇさ。てめぇら特大のケツの穴におあつらえむきな忍術なら……もう使ったさッ！」




そしてその見上げる先には……






「「うぉぉおおおおおおッ！！！」」


真っ直ぐに断崖絶壁を駆け下りる銀時と神楽がいた。
2人は勢いそのまま敵陣に突っ込み――






ドォン――ッ！！






高杉と神威に一撃を打ち込んだ。

瞬時に巻き起こった旋風が辺り一面を土煙で満たす。



視界が奪われ、奇襲に慌てる敵陣では新八が意表を突いて敵を斬り伏せていく。


そして重傷に鞭を打って闘う全蔵の手を


「違う。クナイの投げ方はそうじゃない。しっかり持て、全蔵！」


猿飛を抱えた将軍がぐっと握った。

瞬間、目を見開いて驚いた全蔵に


「やっと会えたな、私の御庭番衆」


将軍は笑いかけた。






そしてその一部始終を眺めていた高杉が口を開いて


「ガキ共を引き連れ、まだくだらんママゴトを続けてたのか――銀時……」


そう言った。


「お前はもう俺から何物も守れねぇよ」


その言葉を聞いてなお、どこか冷静さを匂わす銀時は静かに高杉に問う。


「それがお前があれから見つけたもんか？」


一瞬顔を曇らせた高杉に銀時は続ける。



「俺はてめぇが百のものを捨てる間に千のものと繋がってきた。俺はてめぇが千のものを壊す間に万のものに守られてきた」



そしてじっと前を見据え、言い放った。




「俺らは万を守ってきた3人だ――俺達は万事屋だ！」



だがその言葉さえ高杉は一笑に付した。


「銀時、この世界にお前が守る価値なんざねぇ。俺達が守るものなんざ何もねぇ。てめぇが抱えたのはただのママゴト道具だ」



高杉がそう言って薄ら笑いを浮かべたその時――




　




「——なら確かめてみる？」


緊張感漂う中、凛と鳴る覚えある声が高杉の鼓膜を揺らした。

視線を移した先には……



「本当にママゴトかどうか――」




射抜くような視線をしたAが佇んでいた。




　

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