ep259 ページ12
晴れ渡った空と山をぼーっと眺めていると、背後を足早に走り去っていくさっちゃんさん。
全蔵さんの裏切りを一度でも信じてしまった自分が許せない――……まぁ、分からなくはない。
敵を騙すにはまず味方からとはよく言うもんだが、騙す方は勿論、疑ってしまった側の人間もつらいのは同じだろう。
彼女の背中を目で追いながらそんなことを思っていると百地さんの声が響く。
「将軍生存の報は誰にも知らせるな。これ以上、誰も死なせたくないのならな」
そのもっともな言葉に銀時は木刀を取ると、ゆっくり立ち上がった。
「奴等が将軍の首獲ったくらいで収まるタマだとでも?」
「知っておるのか、敵を?」
そして驚いたように尋ねた百地さんに銀時は「知ってるよ……」と答え、私の隣に立った。
「うんざりするくらいにな」
その言葉と共に山の影からこちらに向かってくる艦隊が見えてくる。
「あれは――春雨ッ!?まさかここに将軍様がいるのがバレた!?」
焦る新八君を他所に私は思う。
正直、バレたバレないの話ではない。
きっとどの道を辿ってもこの結果に辿り着いたんだろう。
私が影武者を死なせる作戦にしようが、しまいが……陽動として船が沈むこと承知の作戦を立てようが、立てまいが。
きっと晋助はここに来た。
「よく見とけてめぇら……アレが奴だ」
銀時はそう言って春雨の艦隊を見上げる。
「将軍が死のうと奴は止まらねぇ。政権が変わろうと奴は止まらねぇ。
奴を止めてぇなら――息の根を止めるしかねぇ」
「…………っ」
“息の根を止める”
そんな使い古された言葉に今更鳥肌を立ててる。
そろそろ覚悟を決めろよ、橘A。
いつまでも逃げてるわけにはいかないってことだ。
いい加減過去に向き合いなよ……。
「……銀時、晋助はあそこにいるんだね」
「あぁ……」
その答えを聞いて、大きく息を吸い込んでまたゆっくりと吐き出す。
そして
パァンッ――!!
勢いよく自分の頬を叩いた。
一瞬、ギョッとした皆を振り返って私は言う。
「百地さん、今すぐ里の忍びを集めて下さい」
そして万事屋に向かって続ける。
「3人は今すぐ将軍様と合流して」
そう言って走り出した万事屋の背中を見送りつつ、「あ、銀時!」と忘れていた物を思い出してそれを放り投げる。
そしてそのインカムを受け取った銀時に言った。
「やるよ、銀時」
「あぁ」
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ギラッフェ(プロフ) - ゆうゆさん» コメントありがとうございます!楽しみにして下さってて本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!テストに間に合ってよかったです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月1日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆ - 更新凄く楽しみに待ってました!応援してます、これからも頑張ってください!! (2021年2月26日 1時) (レス) id: 90e018deaa (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - めちゃめちゃ楽しみにしてました!これからの展開が楽しみですこれで明日のテスト頑張れます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: a90e951796 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - じゅうぞうさん» コメントありがとうございます!なかなか更新できずすみませんでした。応援ありがとうございます! (2021年2月26日 1時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年8月29日 0時