【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀 伍

ep207 ページ10

―no side―


夜も更けきった頃、


「土方さん、標的が動きやした」


土方の部屋に入ってきて早々、沖田は言った。


「読みが当たったか……」


件の変死体はどれも先代池田家当主が処罰するはずの人間だった。
その手がかりから2人は現池田家当主――18代目池田夜右衛門を容疑者に挙げていた。

そして彼周囲の動きを見ていたところ


「予想通り、一橋が一枚噛んでまさァ」


池田夜右衛門が辻斬りに扮し、一橋にとって都合の悪い人間を葬っていたことが分かったのだ。

徳川定々暗殺の一件から確かに一橋の勢力が大きくなってきているのは感じていたが


「いよいよ外堀を埋めにきたってわけか」


と言っても今回の事件、どれ一つとして一橋家自身は何ら手を汚していない。

その手口のあくどさに土方は思わず舌打ちをした。


「挙げ句の果てに夜右衛門は一連の事件の犯人として池田朝右衛門を一橋に差し出すつもりでさァ」

「朝右衛門……？そいつは確か出奔中だっただろ？」


先日、夜右衛門自身がそう言っていた。
先代を介錯した罪悪感に駆られ、家を出て行方をくらましていると……。


「そいつが戻ってきたんでさァ。いや、正確には連れ戻されたんですがねィ……。

銀髪の男とチャイナ服の女、眼鏡の少年の３人組によって――……」


「おま、……それ、まさか……」


土方の脳裏によぎるのは知らぬとは言えないあの万事屋の顔ぶれ。



「夜右衛門は万事屋の旦那達もろとも一橋に差し出すつもりでしょうねィ」

「あいつらは関係ねぇだろ……なんでわざわざ万事屋を――」


そこまで言ってハッとする土方。

万事屋はさておき、銀時はどう転んでも関係がないわけはないのだ。


白夜叉なのだから――……。

そもそも先代夜衛門が処罰されたのは元攘夷浪士を秘密裏に逃していたからだ。


「もしかしてと思って調べたら案の定、旦那の名前がありましたよ。処刑されるはずだった攘夷浪士の中に」


想像していたより状況は遥かに深刻だ。

朝右衛門、万事屋の身柄を差し出された一橋が大人しく彼等を生かしておくわけはないのだから。



思わず部屋が静まり返ったその時、


廊下から慌ただしい足音が迫り、勢いよく襖が開けられた。



　

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