ep238 ページ41
こうして斎藤隊長処断のための尋問が幕を開けた。
静かに審議の場に現れ、中庭に座す彼。
皆がその様子を固唾を飲んで注視する。
正直言うと隊士はみな、斎藤隊長が局中法度に触れるような大罪を成したとは信じられないでいるのだ。
きっと斎藤隊長にも何か訳があったんじゃないか……と、まぁそんな風に。
「こんな日が来るとはな……」
そう重苦しく口を開いた副長に沖田君が続ける。
「終兄さんは無口だから勘違いされやすいんでさァ。考え過ぎじゃないすか、柱さん……?」
「私も出来ることならばそう思いたかったが……」
そう肩を落とすヅラの白々しさに溜息しか出ない。
そもそも古株の仲間とは言え、口も聞いたこともないのだろうと問い詰めるヅラに
「この際だ。本人の口から直接語らせればいい」
そう答える副長。
「土方さん、だから終兄さんは無口で――」
と沖田君が言った時、それを遮るように
「あのぉーー」
馴染みのない間延びした声が聞こえた。
皆が「え?」と視線を向ける先は居心地悪そうに手を挙げる斎藤隊長。
「どーでもいーですけど、早くしてくれませんか?さっきからそっちでコソコソと……。堂々と腹割って話し合いましょうや」
やけにのんべんだらりとした口調で話す彼に
「「斎藤隊長が喋ったァァァアアア!!」」
屯所は衝撃の渦に呑まれた。
よし、通信状況に問題はないね。
斎藤隊長の動きと銀時のセリフもなかなかにマッチしてる。
案外、適応能力高いじゃないか斎藤隊長。
「お、おまえ……ど、どうした!?」
驚きのあまり現実を理解できないでいる局長達に
「どうしたって……そりゃ自分の首かかってるってなったら嫌でも喋りますよぉ〜。こんなんじゃ無口なミステリアスキャラもクソもないでしょ、どんだけぇ〜!?」
「えぇーー!てかなにあの喋り方!?なんかあれショックなんだけどぉッ!?」
いや局長、実際喋ってんの銀時ですから。そりゃこうなりますって。
でも案外声違うだけで分からないもんだなーー。
なんて感心していると、じとーっとした視線のヅラと目が合う。
……うわ、もうこっちの仕掛けに気づいたか。早いな……。
と焦るがまぁ、私は参謀として仕事してるだけなんだ。悪く思わないでくれ。
と、ヅラに親指を立ててウィンクしてみるものの
「チッ……」
舌打ちとブーイングサインで返された。
……うん。我が旧友ながら手厳しいね!
910人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
壊(プロフ) - ギラッフェさん» 了解しました! (11月27日 20時) (レス) id: 701fbdee56 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - 壊さん» ご指摘ありがとうございます。確かにおっしゃる通りですね!その他誤字脱字含め見逃し多々あると思いますがふわ〜っと解釈しといていただけると助かります笑 (11月27日 20時) (レス) id: 245a809416 (このIDを非表示/違反報告)
壊(プロフ) - ep241の「今度の新作抹茶パフェ明日奢ってやるから」なんですが、明日に奢るのなら「今日」「昨日」「この前」の方が文章的に分かりやすい思います。 (11月27日 19時) (レス) @page45 id: 701fbdee56 (このIDを非表示/違反報告)
ギラッフェ(プロフ) - Rさん» コメントありがとうございます。シリーズ開始から読んでくださってるんですね!すごく嬉しいです!いよいよ将軍暗殺篇を迎えて私自身、感慨深いです。これからも末長くよろしくお願いします。 (2020年8月27日 22時) (レス) id: c665168944 (このIDを非表示/違反報告)
R - はじめまして。こちらのシリーズが始まった頃から読ませていただいてます。大好きな将軍暗殺篇に入っていたので、思わずコメントさせていただきました。沢山の小説がありますが、一番と言っていいほどこちらのシリーズが大好きです。これからも楽しみにしています。 (2020年8月27日 19時) (レス) id: f5157b02c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ギラッフェ | 作成日時:2020年5月14日 14時