【銀魂】前職：攘夷四天王専属参謀 伍

ep235 ページ38

てか、この状況で仕事の会話もクソも無いよ。
言葉も出ないよ。


「Aさん、何か現状打破の方法は無いんですか！？」


「……え、なに。私にあそこに突撃して来いと？混ざって来いと？え？」

「Aさん顔怖いです……っていや怖い怖い怖い！」


そうのけぞって冷や汗を流す新八君の隣で


「自分の脳みそ信じられないうちはまだ参謀として半人前アル。自分を信じるネ」


酢昆布片手にそう言う神楽ちゃん。


「なんかすごい飴とムチみたいなお言葉ありがとうだけど、私あそこに『やぁ！今日もいい天気だね！』みたいな感じで登場できるほど人間やめてない」


そう、参謀だって人間よ。


……とは言っても正直この後のヅラの行動は大体察しがつく。

考えられるのは２つだ。
１つはこの時点で真選組瓦解を諦め、エリザベスを連れて真選組から逃げること。

もう１つは、あくまで真選組隊士を装い、エリザベスを拷 問すること。


そしてこんな時、ヅラが選ぶ選択肢がどちらかと聞かれれば――…………




「ぬぉぁぁぁああああ！！！いいサンドバッグですねーこれぇぇえええ！！！」


そう、当然こっちだよねー、と生温かい目でエリザベスをグーパンし続けるヅラを眺める。


「あっさり斬り捨てたよあの人ッ！！」


ありえないものでも見るかのように突っ込む新八君だが……
うん、ヅラってね案外そういうとこあんだよ。




なんて考えていれば、いつの間にかエリザベスに反撃のグーパンを食らい、拷 問小屋の外にまで放り出されたヅラ。

そこにやって来た斎藤隊長はチッチ、と指を左右に振って小屋に戻ると、サッと魚を用意して……





エリザベスに食べさせた。


魚を大人しく食べて懐くエリザベスとそんなエリザベスを撫でる斎藤隊長。
その様子は完全に飼い主とペット。



「なに！？飼ってんのッ！？」

「なんか浮気現場覗き見しちゃった気分」


その様子を見たヅラはすっかり拗ねてしまい、どこかへと走り去っていった。




はぁーやれやれ、結果的に多少ヅラを傷つけることにはなったけど、これでヅラは自分の潜入作戦がどれほど阿呆か気づいただろう。

斎藤隊長もヅラと友達になるのは諦めてくれただろうし……



「一件落着だね」


と一息ついた私は数日のうちに知ることになる。


真選組がヅラによって懐柔された挙句、皆がアフロ頭になり、ヅラが次々と攘夷浪士をお縄につかせる三番隊隊長にして真選組のエースとなるまさかの展開を――……。




　

ep236→←ep234

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す